意味
「手を替え品を替え(てをかえしなをかえ)」とは、一つの方法がうまくいかなければ次々に別の方法を試し、あらゆる手段を尽くして目的を果たそうとすることです。
商売や交渉、説得など、相手の反応を見ながら工夫を重ねる場面でよく使われます。
否定的な意味だけでなく、粘り強さをほめる言い方としても用いられます。
語源・由来
この言い回しは、方法を意味する「手」と、扱う商品や事柄を意味する「品」を、それぞれ入れ替えるという組み立てでできています。
「替える」は「変える」と違い、一方を別のものと入れ替えることを表す字です。
ある方法がだめなら別の方法に、ある品物がだめなら別の品物にと、次々に取り替えていく様子をそのまま写しています。
客の反応を見ながら売り込み方や商品を次々に変えていく商人の姿を思わせる言い方です。
使い方・例文
この言葉は、一つの方法で相手を説得できないときに、次々と別のやり方を試す場面で使われます。
- 頑固な息子を、手を替え品を替え説得しようとした。
- 営業マンは手を替え品を替え、あの手この手で契約を迫った。
- 子どもは手を替え品を替え、おもちゃをねだってきた。
類義語・関連語
方法をあれこれ変えて試みる様子を表す言葉には、次のようなものがあります。
- 名を替え品を替え(なをかえしなをかえ):
あれこれと手を尽くすこと。「手を替え品を替え」とほぼ同じ意味で使われる。 - あの手この手(あのてこのて):
目的のために使えるあらゆる手段。
「手を替え品を替え」と「あの手この手」の違い
どちらも複数の手段を用いることを表すため、使い分けに迷います。
「手を替え品を替え」は一つずつ順に試していく過程に、「あの手この手」は使える手段の幅広さに、それぞれ力点があります。
| 語句 | 力点 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 手を替え品を替え (てをかえしなをかえ) | 一つずつ順に試す過程 | 試行錯誤の粘り強さ |
| あの手この手 (あのてこのて) | 使える手段の幅広さ | 手段そのものの多様さ |
英語表現
try every trick in the book
目的を果たすためにあらゆる手段を次々に試みる様子を表す、日常会話でよく使われる言い回し。
The salesman tried every trick in the book to close the deal.
(営業マンは契約を取るために、手を替え品を替え売り込んだ。)
「名を替え」の形は室町時代からある
「手を替え品を替え」と同じ意味で使われる言い方に「名を替え品を替え」があります。
こちらは室町時代の謡曲『杜若』(1464年ごろ)に「契りし人々の数々に、名をかへしなを替て」という形で出てきます。
『杜若』は『伊勢物語』に出てくるかきつばたの歌を題材にした曲で、次々と相手を替えた男の遍歴を語る場面です。
入れ替える対象が「名」であっても「手」と「品」であっても、次々に取り替えるという骨組みは変わりません。









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