意味
「律儀者の子沢山」は、きまじめで浮ついたところのない人の家庭ほど、いつの間にか子どもの数が増えているという、江戸庶民の観察から生まれたことわざです。真偽のほどはさておき、律儀な人柄を茶化し半分にほめる言い回しとして使われてきました。
- 律儀者(りちぎもの):義理を重んじる、まじめで誠実な人。
語源・由来
「律儀者の子沢山」は、江戸時代に庶民の教訓や笑いを詰め込んだ遊び道具「江戸いろはかるた」の中で、「り」の札として広まったことわざです。「犬も歩けば棒に当たる」のような有名な言葉が並ぶこのかるたの一枚として、「律義者の子沢山」という表記でも長く親しまれてきました。
同じ「子沢山」を使い、暮らしに余裕がなくても子だくさんになる家庭を指す「貧乏人の子沢山」ということわざもあります。まじめさゆえに子宝に恵まれるとする「律儀者の子沢山」と、貧しさゆえに子が増えるとする「貧乏人の子沢山」は、理由づけこそ違いますが、どちらも江戸の庶民の暮らしぶりを映した言葉として並び称されてきました。
使い方・例文
「律儀者の子沢山」は、まじめで家庭円満な人に子どもが多いことを、からかい半分にたとえる場面で使われます。
- 浮気ひとつしない律儀な兄の家は今年も子どもが増え、まさに律儀者の子沢山を地で行く。
- 近所でも評判の仲むつまじい夫婦に赤ん坊が生まれたと聞き、律儀者の子沢山だと笑い合った。
類義語・関連語
「律儀者の子沢山」と同じく、子だくさんの家庭を茶化して言い表すことわざに、次のようなものがあります。
- 貧乏人の子沢山(びんぼうにんのこだくさん):
経済的な余裕がなくても、他に楽しみが少ないぶん子どもが増えやすいという、暮らし向きの厳しさに理由を求めることわざ。
「律儀者の子沢山」と「貧乏人の子沢山」の違い
どちらも「気づけば子どもが多い」という結果は同じですが、理由づけが対照的です。「律儀者の子沢山」はまじめな人柄に、「貧乏人の子沢山」は暮らし向きの苦しさに、それぞれ理由を求めています。
| 語句 | 子だくさんの理由 | 家庭の様子 |
|---|---|---|
| 律儀者の子沢山 (りちぎもののこだくさん) | まじめで浮気をしない人柄 | 夫婦円満で安定した家庭 |
| 貧乏人の子沢山 (びんぼうにんのこだくさん) | 他に楽しみがない暮らし向き | 経済的に厳しい家庭 |
矢筒を満たす者
旧約聖書の詩篇127篇には、子は神から授かる嗣業であり、矢筒を子で満たした者は幸いだ、とたとえる一節があります。ここで子だくさんは、神から与えられる授かりものや報いとして描かれています。
一方、「律儀者の子沢山」が子だくさんの理由として挙げているのは、授かりものでも報いでもなく、律儀な人柄がもたらす夫婦仲の良さという、ごく世俗的な生活実感です。子の多さの理由を言葉にする点は共通していても、その理由が神からの授かりものなのか、人柄によるものなのかという点で、二つの言葉は方向を異にしています。









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