意味
「棒に振る(ぼうにふる)」とは、それまでこつこつと積み上げてきた頑張りや実績を、台無しにしてしまうという意味です。
自分の落ち度による場合にも、怪我や事故のように避けようのない事情による場合にも使われ、後悔や無念さを伴います。
語源・由来
「棒に振る」は、江戸時代の仮名草子『浮世物語』(1665年ごろ)に「終に家を棒にふりて」という形で見える、古くからある言い回しです。
由来としては、天秤棒で魚や野菜を担いで売り歩いた行商人「棒手振り」に結びつける説があります。
担いだ荷をすっかり売り切って手元に何も残らない様子が、財産や積み上げてきたものを無くす意味に転じたとみられます。
使い方・例文
「棒に振る」は、努力や機会、時には人生や財産までも無駄にしてしまった場面で使われます。
- 遅刻癖のせいで、彼はせっかくの昇進のチャンスを棒に振った。
- 一度の失言で、これまでの信頼を棒に振ることになりかねない。
- 若いころの過ちで、危うく人生を棒に振るところだった。
類義語・関連語
「棒に振る」と同じく、積み重ねてきたものが無駄になる様子を表す言葉には次のようなものがあります。
- 水の泡になる(みずのあわになる):
積み重ねた努力や成果が、跡形もなく消えてしまう様子。 - 台無しにする(だいなしにする):
それまで整っていた物事を、すっかり駄目にしてしまう様子。
対義語
「棒に振る」とは反対に、積み重ねた努力が良い結果につながることを表す言葉には次のようなものがあります。
- 実を結ぶ(みをむすぶ):
積み重ねた努力が、望んだとおりの成果となって現れる様子。 - 功を奏する(こうをそうする):
とった対策や工夫が、期待した効果をもたらす様子。
英語表現
go down the drain
直訳は「排水口に流れて消える」で、積み上げてきた努力や資金が無駄になる様子を表す言い回し。
「棒に振る」と同じく、失われたものが戻らないという含みを持つ表現。
All those years of training went down the drain after the injury.
(怪我のせいで、何年もの努力を棒に振ってしまいました。)
俳諧の評点に由来するという、もう一つの説
「棒に振る」の語源には、行商人の棒手振り以外にも別の説があります。
江戸時代の俳諧や狂歌では、出来の悪い作品に評者が線、つまり棒を引いて示す習わしがあり、この棒を引かれることが、せっかく作った句を無にすることに重なるという見方です。
どちらの説が正しいかは判然としておらず、解説によって採り上げる説が分かれています。










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