意味
「義理人情」とは、周囲との関係の中で果たすべき務め(義理)と、人を思いやる気持ち(人情)を合わせ持つことを指す四字熟語です。
日本人の人間関係を支える価値観として、時に相反しながらも大切にされてきた考え方です。
- 義理(ぎり):交際上、立場上守るべき務め。
- 人情(にんじょう):人への思いやりや情け。
語源・由来
「義理人情」は、江戸時代初期の日本社会に根づいていた人づきあいの習わしと、中国から伝わった宋学(そうがく、儒学の一派)における「義理」という考え方が結びついて生まれた言葉とされています。
宋学の「義理」は、本来は物事の正しい筋道や道理を意味する学問用語でしたが、日本では次第に、世間や周囲との関係で果たすべき務めという意味合いを強めていきました。
そこに、古くから日本人が大切にしてきた人への思いやり「人情」が組み合わさり、義務と情の両方を表す言葉として定着しました。
使い方・例文
「義理人情」は、損得抜きで人とのつながりを大切にする姿勢を評価する場面で使われます。
- あの店主は義理人情に厚く、常連客を家族のように扱う。
- 現代のビジネスでも義理人情を忘れない人は信頼される。
類義語・関連語
「義理人情」と同様に、人とのつながりや思いやりを表す言葉には、次のようなものがあります。
- 人情味(にんじょうみ):人への思いやりが感じられる様子。
- 情け深い(なさけぶかい):他人に対する思いやりが深い様子。
中でも「人情味」は、「義理人情」の一部だけを取り出したような言葉で、混同されやすいものです。
「義理人情」と「人情味」の違い
| 語句 | 対象とする範囲 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 義理人情 (ぎりにんじょう) | 社会的な務め(義理)と思いやり(人情)の両方 | 律義さと情の両立を評価 |
| 人情味 (にんじょうみ) | 思いやりの感情のみ | 温かい人柄を評価 |
西鶴と近松が、儒教の「義」と「仁」を書き換えた
「義理人情」の「義理」と「人情」は、もとをたどると儒教の徳目である「義」と「仁」に行き着きます。
江戸時代、井原西鶴や近松門左衛門といった作家たちが、浄瑠璃や歌舞伎の作品を通じて、この堅苦しい儒教用語を町人にも分かる感覚の言葉へと書き換えていきました。
西鶴の作品ではまだ「義理」が単独で語られていましたが、近松門左衛門以降になると、武士の「義理」と町人の「人情」が対立し、せめぎ合う関係として描かれるようになります。
武士の義理を描く時代物と、町人の人情を描く世話物という近松の作品の使い分けが、この二つの言葉の対比をそのまま反映しています。









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