意味
「翻雲覆雨」は、手のひらを返すように、人の心や態度が短い間にころころと変わることをたとえた四字熟語です。
友人関係や世渡りの軽薄さを批判する際に使われる、否定的な意味合いの強い言葉です。
- 翻雲(ほんうん):手のひらを返すと雲になるという意。
- 覆雨(ふくう):手のひらを覆すと雨になるという意。
語源・由来
「翻雲覆雨」は、唐の詩人・杜甫が書いた『貧交行』という詩の一節「手を翻せば雲と作り手を覆せば雨(てをひるがえせばくもとなりてをくつがえせばあめ)」に登場します。
杜甫は752年、科挙の試験に敗れたのち都・長安で官職を求め続けましたが認められず、苦しい生活を送っていました。この詩の中で杜甫は、貧しいときに結んだ友情を、成功すると簡単に忘れてしまう当時の人間関係の軽薄さを嘆いています。
手のひらを上に向ければ雲、下に返せば雨になるという例えは、そのわずかな仕草ほどの短い間に人の態度が変わってしまう様子を表しています。
使い方・例文
「翻雲覆雨」は、簡単に態度や約束を変える不誠実な人間関係を批判する場面で使われます。
- 彼の翻雲覆雨な態度に、誰もが信頼を失った。
- 状況次第で意見を変える翻雲覆雨なやり方に呆れる。
類義語・関連語
「翻雲覆雨」と同じく、態度や心変わりの激しさを表す言葉には、次のようなものがあります。
- 手のひらを返す(てのひらをかえす):態度や言うことを急に変える様子。
- 豹変(ひょうへん):態度や意見が急にがらりと変わること。
中でも「手のひらを返す」は、同じ身振りの例えを使う言葉で、特に混同しやすいものです。
「翻雲覆雨」と「手のひらを返す」の違い
| 語句 | 由来 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 翻雲覆雨 (ほんうんふくう) | 杜甫の漢詩 | 文語的で、人情の軽薄さを批判する響きが強い |
| 手のひらを返す (てのひらをかえす) | 日常的な身振りの例え | 口語的で、態度の急変全般に使う |
英語表現
blow hot and cold
直訳すると「熱い息と冷たい息を吹く」で、良い態度と悪い態度を代わる代わる示す、気まぐれで一貫しない様子を表す表現。
He kept blowing hot and cold about the project.
(彼はその計画について翻雲覆雨的な態度を取り続けた。)
杜甫が引き合いに出した管鮑の交わり
「翻雲覆雨」が生まれた『貧交行』は、杜甫が41歳のときに詠んだ詩です。都・長安で役人になろうと貴族の屋敷を訪ね歩きましたが、門前で追い返されることも多く、思うように官職を得られませんでした。
この詩の中で杜甫は、貧しい時代を共に過ごした友が互いの利害を超えて信頼し合った、春秋時代の管仲と鮑叔の交わり(管鮑の交わり)を引き合いに出し、当時の人々がこうした深い友情を軽んじていることを嘆いています。
成功や地位によって簡単に態度を変える人間関係への失望が、手のひらを返す仕草にたとえられ、千年以上のちの日本にも四字熟語として伝わりました。









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