四字熟語

粒々辛苦

(りゅうりゅうしんく)

米粒の一つ一つに込められた農民の苦労のたとえ。転じて、こつこつと努力を積み重ねること。

異形:粒粒辛苦

9文字の言葉」から始まる言葉
粒々辛苦 ことば
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意味

「粒々辛苦」とは、穀物を実らせるまでの、一粒一粒に込められた並々ならぬ苦労を表す言葉です。
転じて、目に見える成果の裏にある、地道な努力の積み重ねそのものを指す言葉としても使われます。

  • 粒々(つぶつぶ):一粒一粒。ひとつぶひとつぶ。
  • 辛苦(しんく):つらく苦しい思い。

語源・由来

「粒々辛苦」は、中国唐代の詩人、李紳りしんが詠んだ『憫農びんのう』という詩に由来します。
この詩には「鋤禾日当午、汗滴禾下土、誰知盤中飧、粒粒皆辛苦」という一節があり、真昼にくわを振るって田を耕し、汗を土にしたたらせる農民の姿を描いたうえで、「茶碗の中の飯粒がひとつぶひとつぶ、農民の苦労の結晶だと誰が知っているだろうか」と詠んでいます。

この最後の一句「粒粒皆辛苦」が日本に伝わり、「粒々辛苦」という四字熟語として定着しました。

使い方・例文

「粒々辛苦」は、地道な努力を重ねてようやく何かを成し遂げた場面で使われます。

  • 粒々辛苦の末に完成した作品が、ようやく世に出ることになった。
  • 十年かけての粒々辛苦が実を結び、念願の店を開くことができた。

類義語・関連語

「粒々辛苦」と同様に、こつこつとした努力の積み重ねを表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 刻苦勉励(こっくべんれい):
    苦労に耐えながら、学業や仕事に懸命に励むこと。
  • 蛍雪の功(けいせつのこう):
    苦労しながら学問に励んだ成果。

「粒々辛苦」と「刻苦勉励」の違い

どちらも苦労を重ねる努力を表しますが、力点の置き方が異なります。
「粒々辛苦」は農作業のように、小さな作業の積み重ねが結果につながる過程を強調するのに対し、「刻苦勉励」は苦しさに耐えて学業や仕事に打ち込む、能動的な頑張りそのものを強調します。

語句強調する点典型的な場面
粒々辛苦
(りゅうりゅうしんく)
小さな積み重ねの過程農作業・地道な作業
刻苦勉励
(こっくべんれい)
苦しさに耐える頑張り学業・仕事

対義語

「粒々辛苦」とは反対に、苦労を重ねることなく一度に大きな成果を得ることを表す言葉に、次のものがあります。

  • 一攫千金(いっかくせんきん):
    苦労を積み重ねることなく、一度に莫大な利益を得ること。

英語表現

blood, sweat, and tears

血と汗と涙を流すほどの並々ならぬ努力を表す表現。

The novel was the product of years of blood, sweat, and tears.
(その小説は、何年にもわたる粒々辛苦の結晶だった。)

no pain, no gain

苦労なくして成果は得られないという教えを表す表現。

She kept telling herself: no pain, no gain.
(彼女は粒々辛苦だと、自分に言い聞かせ続けた。)

『憫農』にはもう一篇あり、そこでは農民が餓死する

「粒々辛苦」のもとになった『憫農びんのう』は、二首で一組の詩です。
日本で広く知られているのは二首目ですが、一首目は「春種一粒粟、秋収万顆子、四海無閑田、農夫猶餓死」——春に一粒をまけば秋には万の実りとなり、国じゅうに耕されていない田は無いのに、それでも農民は飢えて死ぬ——と詠んでいます。

二首目が農作業の苦労そのものを描くのに対し、一首目は豊作であるはずの国で作り手が飢えるという矛盾を突いています。
李紳りしんがこの二首を呂温りょおんという官僚に見せたところ、呂温りょおんは詩を口ずさんだうえで「この男は必ず宰相にまで昇る」と評したと伝えられています。
李紳りしんは後に実際に宰相の位に就きました。

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