意味
「経世済民(けいせいさいみん)」とは、政治の力で世の乱れを正し、人々を貧苦や苦難から解き放つことです。
単なる経済活動ではなく、国全体を治めて民の暮らしを守ることを指します。
- 経世(けいせい):世の中を治めること。
- 済民(さいみん):民を苦しみから救うこと。
語源・由来
この四字熟語は中国の古典に由来します。
4世紀ごろに成立した道教の書物『抱朴子』に、世を治め民を救うという考え方の原型が見られるとされます。
その後、儒学が政治のあるべき姿を説く中心的な考え方として、この言葉を東アジア全体に広めました。
日本でも江戸時代の学者たちが、政治や統治のあり方を論じる際にこの言葉を用いています。
使い方・例文
「経世済民」は、政治や経済政策の理念を語る、格式高い文脈で使われる言葉です。
- 彼は経世済民の志を胸に、若くして官僚の道を選んだ。
- この政策は、まさに経世済民の精神に基づいて立案された。
類義語・関連語
国を治め民を安んじる理念を表す言葉には、次のようなものがあります。
- 富国安民(ふこくあんみん):
国を豊かにし、民を安らかにすること。 - 治国平天下(ちこくへいてんか):
国を治め、天下を平和にすること。
「経世済民」と「治国平天下」の違い
どちらも中国古典に由来する政治の理念ですが、重心の置き方が異なります。
「経世済民」は民の苦しみを救うことに重心があるのに対し、「治国平天下」は国を治める範囲を、家から国、そして天下へと広げていく段階そのものに重心があります。
| 語句 | 重心 | 由来 |
|---|---|---|
| 経世済民 (けいせいさいみん) | 民の苦しみを救うこと | 中国古典・儒学の政治思想 |
| 治国平天下 (ちこくへいてんか) | 治める範囲を国から天下へ広げること | 儒学の経典『大学』 |
対義語
民を苦しめる政治のあり方を表す言葉に、次のものがあります。
- 苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし):
厳しく民を苦しめる政治は、人食い虎よりも恐ろしいということ。
economyの訳語「経済」、元は経世済民
江戸時代の学者たちが政治の理念として使っていた「経世済民」は、幕末から明治のはじめにかけて、新しい役割を持つようになります。
西洋から入ってきた「economy(エコノミー)」という言葉の訳語を探していた当時の知識人たちは、「経世済民」を短く縮めた「経済」という言葉をあてました。
もとは国を治め民を救う政治全般を指す言葉だったものが、この翻訳をきっかけに、お金やものの流れを指す今の意味へと変わっていきます。
この意味での「経済」は、のちに中国でも使われるようになったとされます。










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