意味
骨を埋めるとは、生まれ育った故郷や慣れ親しんだ場所ではなく、あえて選んだ新しい土地や仕事に生涯を捧げ、そこで一生を終える覚悟を指す言葉です。
単に長く住む、長く勤めるという事実だけでなく、後戻りしない強い意志を伴う点に重みがあります。
仕事について使う場合は、転職や撤退を考えない忠誠心の強さを示す表現としても用いられます。
- 埋める(うずめる):
ここでは、すっかり中に沈めて隠すこと。
語源・由来
骨を埋めるという言葉は、幕末の僧侶・月性が学問を志して故郷を旅立つ際に詠んだ漢詩の一節「骨を埋めるに豈墳墓の地を期せんや(骨を埋めるのに、どうして先祖の墓がある土地にこだわる必要があろうか)」に登場します。
学問を成し遂げるまでは故郷に戻らないという固い決意を、生まれ育った土地の墓地にこだわらない覚悟として詠んだ一節です。
使い方・例文
骨を埋めるは、転職や移住の決意を語る場面や、一つの仕事に一生を捧げる覚悟を示す場面で使われます。
- 彼はこの町の医療を守るため、骨を埋める覚悟で診療所を開いた。
- 第二の故郷だ。この会社に骨を埋めるつもりで働いている。
類義語・関連語
骨を埋めると同じく、一つの場所や物事に人生を捧げる様子を表す言葉には、次のようなものがあります。
- 腰を据える(こしをすえる):
一つの場所や物事に落ち着いて、じっくりと取り組むこと。 - 身を投じる(みをとうじる):
ある物事や境遇に、自分の全てをかけて飛び込むこと。 - 人間到る処青山有り(じんかんいたるところせいざんあり):
大きな志のためなら、故郷を離れたどこで骨を埋めても構わないという故事成語。
「骨を埋める」と「腰を据える」の違い
どちらも一つの場所に落ち着く様子を表しますが、覚悟の重さと前提となる期間に違いがあります。
| 語句 | 覚悟の重さ | 前提となる期間 |
|---|---|---|
| 骨を埋める (ほねをうずめる) | そこで人生を終える、後戻りしない決意 | 一生 |
| 腰を据える (こしをすえる) | 一時的でも構わず、じっくり取り組む態度 | 一定期間〜長期 |
対義語
骨を埋めるとは反対に、一時的な足がかりとして物事に関わる様子を表す言葉に、次のものがあります。
- 腰掛け(こしかけ):
本腰を入れず、一時的な足がかりとしてその場に身を置くこと。
英語表現
put down roots
直訳は「根を下ろす」で、ある土地に定住して生活の基盤を築くことを表す表現。
After years of traveling, she finally decided to put down roots in Kyoto.
(何年も旅を続けた末、彼女はついに京都に骨を埋める決意をしました。)
settle down
直訳は「落ち着く」で、仕事や場所に限らず、生活の基盤を定めて腰を据えることを表す表現。
He wants to settle down and spend the rest of his career at this hospital.
(彼はこの病院に骨を埋めるつもりで、残りのキャリアを捧げたいと考えています。)
幕末の漢詩にあった「埋骨」の覚悟
「骨を埋める」に通じる覚悟を詩にしたものとして知られているのが、幕末の僧・月性が1843年に詠んだ漢詩「将東遊題壁」です。
この詩には「埋骨何ぞ期せん墳墓の地」という一節があり、故郷の墓地に骨を埋めることにこだわる必要はない、という意味を表しています。
詩は「人間到る処青山あり」という結句で結ばれ、世界のどこにでも骨を埋めるにふさわしい山はある、と続きます。
郷里を離れて学問や仕事に人生をかける決意を語ったこの詩は、幕末の志士たちに好んで読まれ、後の世代にも広く知られるようになりました。
「骨を埋める」という言い回しが持つ覚悟のニュアンスは、こうした詩の世界観とも重なっています。









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