意味
「焦眉の急(しょうびのきゅう)」とは、危機がすぐそこまで押し寄せていて、一刻も無駄にできないという意味です。
まだ余裕のある段階ではなく、今すぐ対処しなければ手遅れになる、という緊迫感を伴う場面で使われます。
- 焦眉(しょうび):眉が焦げること。
語源・由来
「焦眉の急」は、中国の禅の書物『五灯会元』に見える問答に由来する言葉です。
ある僧が、蔣山(今の江蘇省にある山)の法泉禅師に「差し迫った一言とはどのようなものか」と尋ねたところ、禅師は「火が眉毛を焼くときだ」と答えたと伝えられています。
眉が焦げるほど火がすぐそばまで迫っている、というこの答えが、一刻を争う切迫した事態を表す言葉として定着しました。
使い方・例文
「焦眉の急」は、すぐに手を打たなければならない、切迫した課題を語る場面で使われます。
- 資金繰りの改善は、この会社にとって焦眉の急だ。
- 堤防の補修工事は焦眉の急として、予算が組まれた。
若山牧水の『古い村』には、家の山を売って差し迫った借金を返したことを語る、次の一節があります。
我等自身の家でもその年は血の出るやうな三度目の山賣りを斷行して、辛くも焦眉の急の借財を返した當座では無かつたか。
(若山牧水『古い村』1909年)
英語表現
a burning issue
直訳は「燃えている問題」で、今すぐ対処すべき差し迫った課題を表す言い回し。
火の比喩を使う点が「焦眉の急」と重なる表現。
Climate change remains a burning issue for world leaders.
(気候変動は各国首脳にとって焦眉の急であり続けている。)
「焦眉の急」のもとの「火燒眉毛」と、清代の俗語集『通俗編』
『五灯会元』の原文で禅師が答えた言葉は「火燒眉毛(火が眉毛を焼く)」の4字です。
清代に俗語を集めた『通俗編』は、この「火燒眉毛」を見出しに立て、出典として蔣山の禅師の問答を挙げています。
同じ『通俗編』は、「火燒眉毛,且顧眼下(眉毛に火がついたら、ひとまず目の前のことだけを構う)」という形を、市中で使われる言い回しの例にも入れています。










コメント