他人同士が縁あって家族となり、長い時間を共に歩む「夫婦」(ふうふ)。
時には親友のように笑い合い、時には激しくぶつかり合い、やがて空気のような存在になっていく。そんな不思議で奥深い関係性は、古くから数多くの言葉で表現されてきました。
円満の秘訣から、リアルな力関係、絆の強さを表す美しい言葉まで、夫婦のあり方を映し出す言葉たちを紹介します。
- 仲睦まじい夫婦・愛の誓い
- 鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
- 偕老同穴(かいろうどうけつ)
- 比翼連理(ひよくれんり)
- 琴瑟相和す(きんしつあいわす)
- お前百までわしゃ九十九まで(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで)
- 夫婦の力関係・性格
- 似た者同士・相性と縁
- 破れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)
- 似た者夫婦(にたものふうふ)
- 夫婦は合わせ鏡(ふうふはあわせかがみ)
- 合縁奇縁(あいえんきえん)
- 共に歩む・支え合いと苦労
- 内助の功(ないじょのこう)
- 糟糠の妻(そうこうのつま)
- 馬には乗ってみよ人には添うてみよ(うまにはのってみよひとにはそうてみよ)
- 一蓮托生(いちれんたくしょう)
- 連れ添うて三日目には飯の炊きようも知れる
(つれそうてみっかめにはめしのたきようもしれる)
- 喧嘩・トラブル・処世術
- 夫婦喧嘩は犬も食わぬ(ふうふげんかはいぬもくわぬ)
- 細君孝行は身代の元(さいくんこうこうはしんだいのもと)
- 元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
- 女房と畳は新しい方が良い
(にょうぼうとたたみはあたらしいほうがよい)
- 英語表現
仲睦まじい夫婦・愛の誓い
仲の良い夫婦や、生涯を添い遂げる固い絆を表す言葉です。結婚式のスピーチや祝辞でもよく使われます。
鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
夫婦仲が極めて良く、睦まじいことのたとえです。
「鴛鴦」とはオシドリのこと。オシドリのオスとメスが常に寄り添って泳ぐ姿から、仲良し夫婦の象徴とされています。
偕老同穴(かいろうどうけつ)
生きては共に老いるまで連れ添い、死んでからは同じ墓穴に入るということ。
夫婦の結びつきが固く、生涯(そして死後も)離れないことを誓う言葉です。
比翼連理(ひよくれんり)
男女の情愛が深く、離れがたい仲であることのたとえ。
一体となって飛ぶ空想上の鳥「比翼」と、枝がつながった木「連理」に由来する言葉です。
琴瑟相和す(きんしつあいわす)
夫婦の仲が非常に睦まじいことのたとえ。
「琴」と「瑟」という二つの楽器を合奏すると、美しい音色で調和することに由来します。
お前百までわしゃ九十九まで(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで)
夫婦が共に長生きし、白髪になるまで仲良く添い遂げようという願いが込められた言葉。
「共に白髪の生えるまで」と続き、相手への深い愛情と末永い幸せを願う気持ちを表します。
夫婦の力関係・性格
どちらが主導権を握るか、あるいは二人の性格的なバランスを表す言葉です。
亭主関白(ていしゅかんぱく)
夫が家の中で威張っていて、妻を支配していること。
「関白」とは昔の最高位の役職のことで、夫が家庭内で絶対的な権力を持っている様子を指します。
嬶天下(かかあでんか)
妻が夫よりも強く、家庭の実権を握っていること。
単に「妻が怖い」という意味だけでなく、「働き者で活発な頼もしい妻」という肯定的な意味も含まれています。
尻に敷かれる(しりにしかれる)
妻が夫を圧倒し、意のままに従わせること。
「嬶天下」よりも、夫が妻の言いなりになっている「弱さ」が強調される表現です。
夫唱婦随(ふしょうふずい)
夫が言い出し、妻がそれに従うこと。
かつての伝統的な夫婦のあり方ですが、現在では夫婦が互いに協力し合い、調和が取れている様子を指すこともあります。
ノミの夫婦(のみのふうふ)
妻のほうが夫よりも体が大きい夫婦のこと。
ノミ(昆虫)はメスのほうがオスよりも体が大きいため、このように呼ばれます。
似た者同士・相性と縁
夫婦の相性や、不思議な巡り合わせを表す言葉です。
破れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)
どんな人にも、ふさわしい伴侶がいるというたとえ。
欠点がある者同士でも、相性が良ければうまくいくという意味で、謙遜やお似合いの夫婦を評する際に使われます。
似た者夫婦(にたものふうふ)
性格や好み、行動パターンなどがよく似ている夫婦のこと。
「似た者夫婦は喧嘩が絶えない」とも言われますが、価値観が近いため基本的にはうまくいきやすいとされます。
夫婦は合わせ鏡(ふうふはあわせかがみ)
配偶者の態度は、自分自身の振る舞いを映し出す鏡のようなものだということ。
相手が不機嫌なら自分にも原因があるかもしれない、という自戒の意味も込められています。
合縁奇縁(あいえんきえん)
人と人との巡り合わせは不思議なもので、気心が合うかどうかもすべて因縁によるものだということ。
理屈では説明できない相性の良さや、思いがけない出会いを肯定する言葉です。
共に歩む・支え合いと苦労
人生の荒波を二人三脚で乗り越える様子や、役割分担に関する言葉です。
内助の功(ないじょのこう)
家庭において妻が夫を陰から支え、その働きによって夫が成功すること。
表舞台には出なくとも、パートナーのサポートがいかに重要かを説く言葉です。
糟糠の妻(そうこうのつま)
貧しい時代から連れ添い、苦労を共にしてきた妻のこと。
成功して裕福になったからといって、苦労を共にしたパートナーをないがしろにしてはいけないという戒めです。
馬には乗ってみよ人には添うてみよ(うまにはのってみよひとにはそうてみよ)
何事も経験してみなければ本当のところはわからないという教訓。
「添う」は夫婦になることを指し、結婚生活を通じて初めて相手の本質が見えることを説いています。
一蓮托生(いちれんたくしょう)
結果の良し悪しに関わらず、行動や運命を最後まで共にすること。
夫婦や仲間が「運命共同体」として最後まで付き合う覚悟を表します。
連れ添うて三日目には飯の炊きようも知れる
(つれそうてみっかめにはめしのたきようもしれる)
一緒に暮らしてみれば、ごく短い期間で相手の性格や家事の腕前など、本性がわかるということ。
生活を共にすることの現実的な側面を説いた言葉です。
喧嘩・トラブル・処世術
夫婦喧嘩や、円満に過ごすためのちょっとした知恵、あるいは皮肉を含んだ言葉です。
夫婦喧嘩は犬も食わぬ(ふうふげんかはいぬもくわぬ)
夫婦喧嘩は一時的なもので、すぐに仲直りするものだから、他人が仲裁に入るようなものではないということ。
何でも食べる犬でさえ見向きもしないほど、他人が関与するのは馬鹿らしいという意味です。
細君孝行は身代の元(さいくんこうこうはしんだいのもと)
妻を大切にすることは、家庭の平和につながり、ひいては仕事にも身が入って財産(身代)を築く基盤になるということ。
家庭円満こそが成功への近道であるという教訓です。
元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
一度絶交や離婚をした者同士が、再び以前のような関係に戻ること。
刀を元の鞘(ケース)に戻すことに例えた言葉で、夫婦の復縁などでよく使われます。
女房と畳は新しい方が良い
(にょうぼうとたたみはあたらしいほうがよい)
何事も古くなったものより新しいものの方が良く、気持ちが良いというたとえ。
※現代においては女性を物扱いする表現と捉えられるため、使用には注意が必要です。
英語表現
「夫婦」にまつわる英語のことわざです。
Every Jack has his Jill.
- 意味:「誰にでも似合いの相手がいる」
- 解説:「破れ鍋に綴じ蓋」や「似た者夫婦」に近い表現です。
A good wife makes a good husband.
- 意味:「良妻は良夫を作る」
- 解説:「内助の功」に近いニュアンスを持ちます。良いパートナーの存在が相手を成長させます。





コメント