意味
「鳴かず飛ばず(なかずとばず)」とは、長いあいだ、これといった活躍ができずにいるという意味です。
もう一つ、先の活躍に備えて表に出ず、じっと時機を待っているという意味もあります。
「飛ばず鳴かず」と順を入れ替えた形でも言います。
語源・由来
この言葉は、「三年飛ばず鳴かず」が変化してできた形です。
元になったのは、中国の歴史書『史記』に記された、楚の荘王の話です。
紀元前7世紀、即位した荘王は3年のあいだ命令ひとつ出さずに昼も夜も遊び暮らし、「諫める者は死刑にする」と国中に命じていました。
そこへ家臣の伍挙が来て、謎かけの形で王を諫めます。
二人のやりとりの、次の一節が由来です。
有鳥在於阜,三年不蜚不鳴,是何鳥也?
三年不蜚,蜚將沖天;三年不鳴,鳴將驚人。
(丘に鳥がいて、三年のあいだ飛びもせず鳴きもしません。何という鳥でしょうか。/三年飛ばない鳥は、飛べば天まで届く。三年鳴かない鳥は、鳴けば人を驚かす。)
ただ、荘王の遊びはそれから数か月、かえってひどくなりました。
王が遊びをやめて政治に取り組んだのは、別の家臣の蘇従が命がけで諫めたあとです。
王の答えのとおり、力を出す時を待つのが元の話に沿った意味ですが、今は活躍できないでいる様子に使うことが多くなっています。
使い方・例文
- 入団して五年、鳴かず飛ばずの成績が続き、来季の契約も危うい。
- 開店から一年は鳴かず飛ばずだった店が、今では行列のできる人気店だ。
- 新しく出した本も鳴かず飛ばずで、作家は筆を折ろうかと悩んでいる。
- 今は鳴かず飛ばずに見えても、あの専務は社長の座を静かにうかがっている。
使うときの注意
鳥が鳴くことから来た言葉なので、「泣かず飛ばず」と書くのは誤りです。
類義語
- 三年飛ばず鳴かず(さんねんとばずなかず):
大きく羽ばたく時に備え、長く表に出ずに控えていること。
「鳴かず飛ばず」の元になった形で、意味は時機を待つほうだけ。
英語表現
bide one’s time
好機が来るまで、じっと待つことを表す句。
二つの意味のうち、時機を待つほうに当たる表現。
The young pitcher is biding his time on the bench.
(その若手投手は、ベンチで出番をじっと待っている。)
斉の威王にも同じ謎かけ
『史記』には、荘王とよく似た話がもう一つあります。
弁の立つ人物を集めた滑稽列伝に載る、斉の威王と家臣の淳于髡の話です。
酒宴にふけって政治を家臣に任せきりにしていた威王に、淳于髡は「国に大きな鳥がいて、三年飛びも鳴きもしない。何の鳥でしょう」と謎をかけました。
威王は「飛ばなければそれまでだが、ひとたび飛べば天まで上がる。鳴かなければそれまでだが、ひとたび鳴けば人を驚かす」と答えます。
その後、威王が兵を挙げると、諸国はおそれて、奪っていた斉の土地をすべて返しました。
「三年飛ばず鳴かず」の出どころとしては、荘王の話と並んで、この威王の話も挙げられます。









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