意味
「一拍即合」とは、拍子をひとつ打つだけで調子が合うように、たがいの考えや気持ちが即座に一致することという意味です。
息が合った様子を表す一方で、もとの中国語では、深く見極めないまま調子だけで結びつくという見下したニュアンスを伴います。
- 一拍(いっぱく):拍子をひとつ打つほどのわずかな間。
- 即合(そくごう):ただちにぴたりと合うこと。
語源・由来
「一拍即合」は、中国の小説に出てくる言葉です。
清の李緑園が書いた長編小説『歧路灯』の第十八回に、遊び仲間とすぐに打ち解けてしまう若者の場面があり、そこで語り手がこう言い添えます。
君子之交、定而後求。小人之交、一拍即合。
(りっぱな人の交わりは、相手を見定めてから求める。つまらない人の交わりは、拍子ひとつで合ってしまう。)
「拍」は音楽の拍子のことで、一度手を打っただけで調子がそろってしまう、という例えです。
もともとは、相手をよく確かめもせずに意気投合する軽さを戒める文脈で使われており、現代の中国語でも見下すニュアンスを含みます。
日本語では息の合う様子を褒める意味で紹介されることが多く、原典とは響きがずれています。
使い方・例文
「一拍即合」は、たがいの意見や感覚が瞬時にそろう場面で使われます。
- 企画の方向性で一拍即合し、その場で骨子が決まった。
- 好きな作家の話になった途端、二人は一拍即合だった。
- 条件を聞くなり一拍即合で握手を交わすのは危うい。
類義語・関連語
「一拍即合」と同じく、たがいの気持ちが通じ合う様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 意気投合(いきとうごう):考えや気持ちがぴたりと一致すること。
- 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう):言葉を交わさずとも動きがそろう間柄。
- 以心伝心(いしんでんしん):口に出さなくても気持ちが通じ合うこと。
「一拍即合」と「意気投合」の違い
どちらも気が合うことを指すため混同されますが、分かれ目は「合うまでの速さ」と「評価の向き」です。
| 語句 | 合うまで | 評価の向き |
|---|---|---|
| 一拍即合 (いっぱくそくごう) | ひと呼吸で即座 | 軽さを見る目も含む |
| 意気投合 (いきとうごう) | 語り合ううちに | 肯定的 |
対義語
「一拍即合」とは反対に、そろわないまま並んでいる状態を表す言葉です。
英語表現
hit it off
会ってすぐに打ち解けて仲良くなることを表す、日常会話でよく使われる言い方。
They hit it off the moment they started talking about films.
(映画の話を始めた瞬間、二人は一拍即合だった。)
click
かちりとはまるように、人どうしや考えが瞬時に噛み合う感覚を表す口語。
We just clicked at the first meeting.
(初対面で一拍即合だった。)
日本語には定着していない四字熟語
「一拍即合」は、日本語には定着していない中国語の言い回しです。
中国語では現在も日常的に使われる成語で、商談がまとまる場面や意見が一致する場面によく登場します。
ただし中国語では「貶義」、つまり見下す響きを持つ語とされます。
相手を見定める手間を省いて結びついた、という含みが残っているためです。
日本語で紹介されるときはこの部分が落ち、息の合う様子を褒める言葉として伝わっています。
同じ四字が、海を渡ると評価の向きだけ入れ替わった例です。









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