家庭内の決定権が、いつも一方の手に握られている。
そんな夫婦間の力関係を表すのが、「尻に敷かれる」(しりにしかれる)です。
意味
「尻に敷かれる」とは、夫婦関係で、妻が主導権を握り夫を思うままに従わせているという意味です。
多くは夫の側から見た表現として使われ、逆らえない力関係をやや自嘲気味に語る際に用いられます。
深刻な非難というより、夫婦仲の良さを含んだ軽い言い回しとして使われることも多い言葉です。
語源・由来
「尻に敷かれる」は、家庭内で誰が主導権を持つかを、座る位置になぞらえた表現です。
古くは家庭内の意思決定を男性が担うのが一般的とされ、当時は男性のみがズボンを身につけていました。
「ズボンを履いている者が主導権を握る」という発想から、逆に妻が家庭の実権を握る様子を、夫がまるで妻の下に敷かれているかのような姿にたとえて表すようになったと考えられています。
使い方・例文
「尻に敷かれる」は、夫婦間で妻が主導権を握っている様子を語る場面で使われます。
- 彼はすっかり妻の尻に敷かれている。
- 家計はすべて妻が管理し、尻に敷かれ放しだ。
- あの夫婦は、夫が尻に敷かれるくらいで丁度いいらしい。
使うときの注意点
「尻に敷かれる」は褒め言葉として使われることはほとんどなく、からかいのニュアンスを含みます。
親しい間柄での軽口としては使いやすい表現ですが、面と向かって初対面の相手に使うと失礼にあたるため、使う相手や場面には注意が必要です。
類義語・関連語
「尻に敷かれる」と同じように、相手に主導権を握られている様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 頭が上がらない(あたまがあがらない):
恩義や負い目から、相手に対等に振る舞えないこと。 - 言いなりになる(いいなりになる):
相手の言うとおりに、逆らわず従うこと。
英語表現
be henpecked
雌鶏に突かれる雄鶏の姿から生まれた語で、妻に頭が上がらない夫を指す口語表現。
He’s a henpecked husband who never argues with his wife.
(彼は妻の尻に敷かれ、決して口答えしない夫だ。)
世界共通の「力関係を動物にたとえる」発想
「尻に敷かれる」が座る位置で夫婦の力関係を表すのに対し、英語の「henpecked」は鶏の生態にその発想を求めています。
文化や言語が異なっても、身近な生き物や日常の動作を借りて夫婦間の力関係をユーモラスに表現しようとする発想は、驚くほど共通しています。
こうした表現が世界中に見られる背景には、家庭内の力関係というデリケートな話題を、深刻になりすぎずに笑いに変えたいという、人間に共通する心理があるのかもしれません。









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