もはや猶予は一秒たりとも残されていない、今すぐに対処しなければ手遅れになる。
そんな危険の切迫ぶりを表すのが、「燃眉の急」(ねんびのきゅう)です。
意味
「燃眉の急」とは、危険や急を要する事態が、目前に差し迫っていることという意味です。
眉が焦げるほど炎が近づいているという、一刻の猶予もない緊迫感を伴う言葉で、対応を先延ばしにできない緊急性の高さを強調する際に使われます。
- 燃眉(ねんび):眉が燃えるほど、炎が間近に迫っていること。
- 急(きゅう):一刻を争う、差し迫った事態。
語源・由来
「燃眉の急」は、中国南宋時代に編まれた禅宗の歴史書『五灯会元』に由来する故事成語です。
この書物には、ある修行僧が指導者に「切迫した状況とは、いったいどのようなものでしょうか」と問いかけた場面が記されています。
これに対して指導者は、「火が眉を焼くときである」と答えたと伝えられており、この禅問答が「燃眉の急」という言葉の由来となりました。
使い方・例文
「燃眉の急」は、一刻の猶予もない、緊急性の高い事態を表す場面で使われます。
- 資金繰りの悪化は、もはや燃眉の急だ。
- システム障害への対応は、燃眉の急を要する。
- 台風の接近を受け、避難所の整備が燃眉の急となった。
類義語・関連語
「燃眉の急」と同様に、切迫した緊急事態を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 焦眉の急(しょうびのきゅう):
「燃眉の急」と同じ意味で使われる、より一般的な言い方。 - 一刻を争う(いっこくをあらそう):
わずかな時間も無駄にできないほど、事態が切迫していること。
英語表現
a matter of urgency
緊急を要する事案、という意味で使われるビジネスでも一般的な表現。
Fixing the system error is a matter of urgency.
(システムエラーの修正は燃眉の急である。)
禅問答が育んだ、極限を突く言葉の技法
禅の世界における問答は、単なる知識のやり取りではなく、弟子の心の在り方を試し、悟りへと導くための独特な対話の形式です。
「切迫した状況とは何か」という抽象的な問いに対し、「眉が燃えるとき」という極めて具体的で感覚に訴える答えを返す手法は、禅問答に特徴的な表現技法のひとつです。
抽象的な概念を説明的な言葉で語るのではなく、身体感覚に直結する鮮烈なイメージで一瞬にして伝えるこの手法は、禅の教えが言葉を超えた体験的な理解を重んじてきたことの表れです。
「燃眉の急」という四字熟語が、千年近くたった今も強い緊迫感を保ち続けているのは、この禅問答特有の切れ味の鋭さによるところが大きいといえます。









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