月に叢雲花に風

『月に叢雲花に風』の文字サムネ 個別解説
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美しい月を眺めようとすれば雲が隠し、可憐な花を愛でようとすれば風が散らす。
そんな儚さを人の世に重ねたのが、「月に叢雲花に風」(つきにむらくもはなにかぜ)です。

意味

「月に叢雲花に風」とは、良いことや美しいものには、とかく邪魔が入りやすいものだという意味です。

順調に思えた物事が思わぬ形で妨げられたときに、諦めやため息とともに使われる言葉で、しみじみとした情緒を伴います。

  • 叢雲(むらくも):群がり集まった雲。
  • (はな):美しく咲いた花。

語源・由来

「月に叢雲花に風」は、美しい月に雲がかかり、美しい花に風が吹きつける自然の様子を、人の世の儚さに重ねた言葉です。

江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎の演目にも取り入れられ、広く庶民に親しまれるようになったという説があります。
特定の一つの書物だけに由来する言葉ではなく、月や花を愛でる文化と、それが長続きしない儚さへの共感が結びついて生まれた表現と考えられています。

使い方・例文

「月に叢雲花に風」は、順調だった物事に思わぬ邪魔が入った場面で使われます。

  • 昇進の話が白紙になり、月に叢雲花に風だと肩を落とした。
  • せっかくの晴れ舞台に雨とは、月に叢雲花に風である。
  • 幸せな時ほど、月に叢雲花に風というものを実感する。

類義語・関連語

「月に叢雲花に風」と同様に、良いことに邪魔が入りやすいと説く言葉には、以下のようなものがあります。

  • 好事魔多し(こうじまおおし):
    良いことには邪魔が入りやすいという教え。

英語表現

Into every life a little rain must fall

誰の人生にも辛いことは訪れるという意味の表現。

Into every life a little rain must fall, so don’t be too discouraged.
(誰の人生にも雨は降るものだから、あまり落ち込まないで。)

Every rose has its thorn

美しいものには必ず欠点や困難が伴うという意味の表現。

Every rose has its thorn; even the best plans hit setbacks.
(どんなバラにもとげがあるように、最高の計画にもつまずきはある。)

対句が生み出す情緒

「月に叢雲花に風」は、「月」と「花」、「叢雲」と「風」をそれぞれ対にした、リズムの良い対句表現です。
この月と花を並べる発想は、和歌の世界で古くから使われてきた「雪月花」という言葉にも通じ、自然の美しさを代表する景物として月と花が並べて詠まれる伝統があります。

対句によって二つの情景を重ねることで、単に「良いことには邪魔が入る」と説明するよりも、簡潔で余韻のある表現になっています。

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