意味
「眠れる獅子」は、本来は強大な力を持ちながら、それをまだ表に出していない人や国のたとえです。
侮ってはいけない潜在的な脅威という警戒のニュアンスと、いずれ本領を発揮するはずだという期待のニュアンスの、両方を併せ持つ言葉です。
- 眠れる(ねむれる):眠っている状態。
- 獅子(しし):百獣の王とされるライオン。
語源・由来
「眠れる獅子」は、清(しん)の外交官であった曾紀沢(そうきたく)が、1887年にロンドンで発表した論文「中国-その睡眠と覚醒」に由来するといわれています。
当時のヨーロッパ列強は、広大な領土と人口を抱えながら近代化に出遅れた清国を、獅子にたとえてこう呼びました。
眠っているだけで、ひとたび目覚めれば恐るべき力を発揮する存在として、清国の潜在力を警戒する気持ちが込められた表現でした。しかし日清戦争での敗北を機に、欧米はその評価を一変させ、清国を「死せる豚」と呼ぶようになったといいます。
使い方・例文
「眠れる獅子」は、まだ力を発揮しきっていない人物や組織の潜在力を評価する場面で使われます。
- あの新人は眠れる獅子だ、いずれ本領を発揮するだろう。
- この会社はまだ眠れる獅子のような状態にある。
- 彼の実力はまさに眠れる獅子そのものだ。
類義語・関連語
「眠れる獅子」と同様に、秘めた才能や可能性を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 大器晩成(たいきばんせい):
真の才能は遅れて花開くという教え。 - 臥龍鳳雛(がりょうほうすう):
まだ世に知られていない優れた人材のたとえ。
「眠れる獅子」と「大器晩成」の違い
どちらも秘めた才能を語る言葉ですが、「眠れる獅子」は今すでにある潜在能力の大きさに、「大器晩成」は開花までにかかる時間の長さに焦点があります。
| 語句 | 焦点 |
|---|---|
| 眠れる獅子 (ねむれるしし) | 今ある潜在能力の大きさ |
| 大器晩成 (たいきばんせい) | 開花までにかかる時間の長さ |
英語表現
a sleeping giant
潜在能力を秘めながら、まだそれを十分に発揮していない人物や組織を指す表現。
Some analysts call the country a sleeping giant in the global economy.
(一部のアナリストはその国を世界経済における眠れる獅子と呼んでいる。)
「眠れる獅子」は誰が最初に中国をこう呼んだのか
「眠れる獅子」という呼び名は、フランスのナポレオンが中国(清)を評した言葉として広く知られています。
「中国は眠れる獅子である。眠らせておけ、目覚めれば世界を揺るがすであろう」という発言が、19世紀以降、中国に対する国際社会の見方を象徴する言葉として繰り返し引用されてきました。
ただし、この発言がナポレオン自身の記録に残っているわけではなく、実際に本人が語ったかどうかは歴史的に確証が得られていません。
出典が定かでないまま広まった逸話ではありますが、大きな力を秘めながらまだ本領を発揮していない存在を「眠れる獅子」にたとえる見方は、この逸話とともに定着していきました。










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