慣用句

眠れる獅子

(ねむれるしし)

大きな力を秘めながら、それをまだ発揮していない人や国などのたとえ。


6文字の言葉 / 「ね」から始まる言葉
眠れる獅子 ことば
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意味

「眠れる獅子(ねむれるしし)」は、本来は強大な力を持ちながら、それをまだ表に出していない人や国のたとえです。
侮ってはいけない潜在的な脅威という警戒のニュアンスと、いずれ本領を発揮するはずだという期待のニュアンスの、両方を併せ持つ言葉です。

  • 眠れる(ねむれる):眠っている状態。
  • 獅子(しし):百獣の王とされるライオン。

語源・由来

「眠れる獅子」は、19世紀の終わりに清しん(中国)を指して使われた呼び名です。
中国を眠りと目覚めにたとえる見方は、清の外交官曾紀沢そうきたくが1887年にロンドンの英文誌に発表した論文「中国-その睡眠と覚醒」で広まりました。
ただ、研究者によれば、この論文に獅子のたとえは出てきません。

中国を眠る獅子にたとえた早い文章としては、1896年に政治家の尾崎行雄が雑誌『太陽』に書いた論説や、1899年の清の思想家梁啓超りょうけいちょうの文章が知られています。
尾崎の論説は、西洋の国々が清を目覚めれば恐ろしい獅子と見ていたとしたうえで、日清戦争(1894〜95年)での清の敗北を見れば、獅子は眠っていたのではなく病んでいたのだと論じています。

使い方・例文

  • あの新人は眠れる獅子だ、いずれ本領を発揮するだろう。
  • 資源も人口も豊かなのに産業の育っていないその国は、長く眠れる獅子と呼ばれてきた。
  • 選手はそろっているのに今季は下位に沈むあのチームは、まさに眠れる獅子だ。
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類義語・関連語

「眠れる獅子」と同様に、秘めた才能や可能性を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 大器晩成(たいきばんせい):
    真の才能は遅れて花開くという教え。
  • 臥龍鳳雛(がりょうほうすう):
    まだ世に知られていない優れた人材のたとえ。

「眠れる獅子」と「大器晩成」の違い

どちらも秘めた才能を語る言葉ですが、「眠れる獅子」は今すでにある潜在能力の大きさに、「大器晩成」は開花までにかかる時間の長さに焦点があります。

英語表現

a sleeping giant

潜在能力を秘めながら、まだそれを十分に発揮していない人物や組織を指す表現です。

Some analysts call the country a sleeping giant in the global economy.
(一部のアナリストはその国を世界経済における眠れる獅子と呼んでいる。)

「眠れる獅子」のナポレオン説、記録に無し

「眠れる獅子」は、フランスの皇帝ナポレオンが中国を評した言葉として広く知られています。
「中国は眠れる獅子だ。眠らせておけ、目覚めれば世界を揺るがす」というものです。

しかし、ナポレオンの著作や当時の記録に、この発言は見つかっていません。
ナポレオンの言葉とする早い記録の一つは、1915年にアメリカ留学中の胡適こてき(= 後の中国の思想家)が日記に、ナポレオンが中国を眠る獅子にたとえたと書いたものです。

ナポレオンが亡くなったのは1821年で、中国を獅子にたとえた文章として知られる尾崎行雄や梁啓超のものより、70年以上も前です。
名高い一言は、獅子のたとえが広まった後で、ナポレオンの名を借りて語られるようになったものと見られます。

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