二股膏薬

どちらにも都合よくつこうとする、定見のない態度のこと。また、その人。 個別解説
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状況が有利な方へ次々と乗り換え、どちらの側からも良い顔をされようとするのが、「二股膏薬」(ふたまたごうやく)です。

意味

「二股膏薬」とは、どちらにも都合よくつこうとする、定見のない態度のこと。また、そのような人物を指す言葉です。
相手を見下すニュアンスを含み、褒め言葉として使われることはありません。

  • 二股(ふたまた):一つのものが、途中で二つに分かれること。
  • 膏薬(こうやく):布に薬を塗って患部に貼る、練り薬。

語源・由来

「二股膏薬」は、内股(うちまた)に貼った膏薬が、汗や動きによっていつの間にか反対側の脚にもくっついてしまう、という身近な現象をたとえにした言葉です。
どちらの脚にもべったり張り付いて離れない膏薬の様子が、都合に応じて右にも左にも心を寄せる人間の態度と重ね合わされ、皮肉や軽蔑を込めた表現として定着しました。
同じ発想から生まれた類似の表現に「内股膏薬」があり、古くから二心のある人物を戒める言い回しとして使われてきたとされています。

使い方・例文

「二股膏薬」は、状況によって態度や立場をころころと変える、信用のおけない人物を非難する際に使われます。

  • 彼はいつも状況次第で意見を変える、まさに二股膏薬な男だ。
  • 両陣営に良い顔をする二股膏薬な態度に、皆があきれ果てた。
  • 都合よく立場を変える二股膏薬のような人は信用されない。

誤用・注意点

「二股膏薬」は、状況に応じて柔軟に対応できる人を単純にほめる言葉ではありません。誠実さや一貫した考えを持たず、損得だけで態度を変える人物を非難する、はっきりとした否定的な言葉です。好意的な意味合いで使わないよう注意しましょう。

類義語・関連語

「二股膏薬」と同じく、節操のない態度を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 二枚舌を使う(にまいじたをつかう):
    相手によって言うことを使い分け、人をだますこと。
  • 風見鶏(かざみどり):
    状況に応じて態度や意見をころころと変える人のたとえ。

どちらも節操のない態度を非難する言葉ですが、焦点になる行為が異なります。話す内容を使い分けて人をだます場合は「二枚舌を使う」を、状況に応じて所属や立場そのものを乗り換える場合は「二股膏薬」や「風見鶏」を使います。

「二股膏薬」と類義語の違い

語句焦点使われ方
二股膏薬
(ふたまたごうやく)
立場・所属先を都合よく変える。皮肉・軽蔑。
風見鶏
(かざみどり)
状況に応じ意見が変わる。批判的な形容。

対義語

「二股膏薬」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。

  • 首尾一貫(しゅびいっかん):
    最初から最後まで、考えや態度を変えないこと。

英語表現

two-faced

意味:表と裏で言うことや態度を使い分ける人を批判的に指す表現。

  • 例文:
    You can’t trust him, he’s totally two-faced.
    彼は信用できない、まったくの二股膏薬だ。

fence-sitter

意味:どちらの側にもつかず、有利な方を見極めようとする日和見な人を指す表現。

  • 例文:
    Stop being a fence-sitter and pick a side.
    日和見な二股膏薬をやめて、どちらかの側につきなさい。

「膏薬」が節操のなさの象徴になった理由

江戸時代の日本語には、二股膏薬のほかにも「内股膏薬」「股座膏薬」など、膏薬を使った似た言い回しがいくつも存在します。
当時の膏薬は紙や布に薬を塗って患部に貼る形状で、汗をかきやすい内股に貼ると位置がずれやすく、両脚にまたがってくっついてしまうことも珍しくありませんでした。
日用品の性質を人の性格にたとえる発想は他の言葉にも見られ、当時の庶民にとって身近な道具ほど、皮肉やたとえ話の題材として選ばれやすかったことがうかがえます。

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