血を分けた家族の間で対立や憎しみが生まれ、互いに背を向け合うのが、「六親不和」(ろくしんふわ)です。
意味
「六親不和」とは、父・母・兄・弟・妻・子といった、最も身近な六種の親族の関係がうまくいかず、仲が悪いことという意味です。
単なる意見の食い違いにとどまらず、家庭という本来もっとも安らげる場が崩れてしまう、深刻で否定的な状況を指す言葉です。
- 六親(ろくしん):父・母・兄・弟・妻・子など、身近な六種の親族。
- 不和(ふわ):仲が悪く、争いが絶えないこと。
語源・由来
「六親不和」は、中国の古い思想書『老子』(道徳経)にある「六親不和、孝慈あり」という一節に由来するといわれています。
この一節は、家族関係が良好で調和が保たれているときには、あえて「親孝行」や「慈愛」という言葉を持ち出す必要すらないという、老子らしい逆説的な考え方を示したものです。
なお「六親」が具体的に誰を指すかは古来諸説あり、父母・兄弟・妻子とする説や、父子・兄弟・夫婦とする説など、時代や文献によって解釈が分かれています。
使い方・例文
「六親不和」は、家族や親族の間で不仲や対立が長く続いている状態を、深刻な調子で表す際に使われます。
- 遺産をめぐる争いから、あの一族はすっかり六親不和に陥った。
- 長年の確執が積み重なり、六親不和の家庭は決して珍しくない。
- 些細な誤解の積み重ねが、六親不和を招くこともある。
類義語・関連語
「六親不和」と同じく、身近な人間関係の不仲を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 犬猿の仲(けんえんのなか):
顔を合わせるだけで争ってしまうほど、仲の悪い関係。 - 骨肉相食む(こつにくあいはむ):
血のつながった肉親同士が、互いに争い傷つけ合うこと。
どちらも人間関係の不仲を表しますが、対象となる関係の範囲が異なります。血縁関係にある家族・親族全体の不和を表すなら「六親不和」を、特定の二者間の相性の悪さを表すなら「犬猿の仲」を使います。
「六親不和」と「犬猿の仲」の違い
| 語句 | 対象範囲 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 六親不和 (ろくしんふわ) | 家族・親族全体。 | 家庭崩壊に近い深刻さ。 |
| 犬猿の仲 (けんえんのなか) | 特定の二者間。 | 顔を合わせれば争う相性の悪さ。 |
対義語
「六親不和」の対義語には、家族が仲むつまじく過ごすことを表す「一家団欒」が挙げられます。
- 一家団欒(いっかだんらん):
家族が集まって、なごやかに楽しく過ごすこと。
英語表現
family discord
意味:家族間の不和や対立を表す、比較的フォーマルな場面でも使われる表現。
- 例文:
Years of family discord finally led to a complete breakdown in communication.
長年の家族間の不和が、ついに意思疎通の完全な断絶を招いた。
at each other’s throats
意味:家族に限らず、激しくいがみ合う様子をやや口語的に表す表現。
- 例文:
The siblings have been at each other’s throats ever since their father passed away.
父親が亡くなって以来、その兄弟姉妹はずっといがみ合っている。
「六」が表す家族の全体像
「六親不和」の「六」は、単なる人数の記録ではなく、家族という共同体を漏れなく指し示すための数として選ばれています。
古代中国には、父母・兄弟・妻子のように家族関係をいくつかの立場に分類して整理する考え方があり、「六親」という言葉自体が、その全体をひとまとめに呼ぶ呼び名として定着しました。
数字を使って人間関係の広がりを表す発想は、世界中の人々を兄弟にたとえる「四海兄弟」の「四」(四方、つまり世界全体を指す数)にも共通しています。









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