古代中国の戦場で幾多の将軍たちが学び、勝敗を分ける知恵として代々受け継がれてきた、そんな兵法の粋を集めた書物を表すのが、「六韜三略」(りくとうさんりゃく)です。
意味
「六韜三略」とは、中国の代表的な兵法書『六韜』と『三略』を合わせた呼び名という意味です。
転じて、兵法の奥義や、容易には人に明かさない秘伝そのものを指す言葉としても使われます。
- 六韜(りくとう):六巻からなる兵法書。
- 三略(さんりゃく):三巻からなる兵法書。
語源・由来
「六韜」は、周の建国を助けた太公望(たいこうぼう)の著作と伝えられ、「三略」は、漢の張良(ちょうりょう)が黄石公(こうせきこう)という老人から授かった書物と伝えられています。
ただし、これらの成立の経緯はあくまで後世に語り継がれた伝承であり、現存する『六韜』『三略』は、実際には太公望や黄石公よりものちの時代に成立した書物とする説が有力です。
日本へは奈良時代、遣唐使として渡った吉備真備(きびのまきび)によって伝えられたと記録されています。
使い方・例文
「六韜三略」は、兵法や戦略に精通していることをたたえる場面や、物事の奥義・秘伝を指す場面で使われます。
- 彼は六韜三略に通じた軍師として名を馳せた。
- 交渉の場では、まさに六韜三略を尽くした駆け引きが繰り広げられた。
- 祖父から六韜三略とも呼べる商売の極意を受け継いだ。
類義語・関連語
「六韜三略」と同様に、優れた策略や兵法の知識を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 兵法(へいほう):
戦いに勝つための考え方や技術。 - 韜略(とうりゃく):
兵法上の巧みなはかりごと。 - 奇策(きさく):
人の予想を超えた巧みな策略。
「虎の巻」の語源
現代でも使われる「虎の巻」という言葉は、実はこの『六韜』に由来するといわれています。
『六韜』は、文韜・武韜・龍韜・虎韜・豹韜・犬韜という六つの巻からなり、このうち戦場での戦術を記した「虎韜」の巻が特に重視され、略して「虎の巻」と呼ばれるようになったという説が有力です。
「韜」という字はもともと剣や弓を収める袋を意味し、そこから兵法の秘策そのものを指す言葉としても使われるようになりました。
室町時代の軍記物語『義経記』には、源義経が鬼一法眼(きいちほうげん)のもとからこの『六韜』を持ち出し、兵法を学んだとする逸話が描かれています。









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