意味
「呼び水(よびみず)」とは、何かが動き出すためのきっかけになるもののことです。
働きかけ自体はささやかでも、そこから大きな結果を生み出す起点を指す言葉です。
- 呼ぶ(よぶ):誘い出すこと。
語源・由来
「呼び水」は、もともと手押しポンプで地下水をくみ上げるときに使う水を指す言葉です。
ポンプの内部に空気が入っていると水を吸い上げることができないため、あらかじめ別に用意しておいた水をポンプの上から注ぎ込み、内部を水で満たしてからくみ上げる作業が必要でした。
この、目的の水を誘い出すために使う水のことを「呼び水」と呼んだことから、転じて、ある事態や行動を引き起こすきっかけとなるものを広く指すようになりました。

(写真:Hirho、Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0)
使い方・例文
「呼び水」は、大きな動きにつながるきっかけを表す場面で使われます。
- 小さな成功が呼び水となり、大きな契約につながった。
- 値下げを呼び水にして新しい客を呼び込み、常連客を増やした。
- 司会者の質問が呼び水となって、会場から次々と意見が出た。
類義語・関連語
「呼び水」と同じ意味の言葉に、次のものがあります。
- 誘い水(さそいみず):
「呼び水」の別名で、意味は同じ。
英語表現
prime the pump
直訳は「ポンプに呼び水を入れる」。
先にお金や手を入れて、物事を動かし始めることを指す表現。
政府の景気対策によく使う。
The government decided to prime the pump with a small subsidy.
(政府は小さな補助金で呼び水を差すことにした。)
catalyst
物事の変化や活動を引き起こすきっかけを指す語。
That single email became the catalyst for the whole negotiation.
(その一通のメールが、交渉全体の呼び水となった。)
1回きりの支出で景気を動かす「呼び水政策」
「呼び水」は経済の言葉にもなっています。
不況のときに政府がお金を出しても、ふつうは出すのをやめれば効果も消え、景気はもとに戻ります。
そこで、1回きりの支出をきっかけに民間の消費や投資を動かし、あとは支出を続けなくても景気が保たれることを狙う政策を「呼び水政策」(誘い水政策)といいます。
はじめに注いだ少しの水で、あとは井戸の水が上がり続けるという、語源のポンプそのままの発想です。
最初の典型とされるのが、1930年代の大恐慌のときにアメリカがニューディール政策で行った政府支出です。
ただ、支出の規模が足りず、民間の投資意欲も冷え込んでいたため、うまくいかなかったという評価もあります。










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