澄んで美しい瞳と、白く輝く歯並び。
楊貴妃の美貌を惜しんだ詩から生まれた、際立った容姿を讃える言葉が、「明眸皓歯」(めいぼうこうし)です。
意味
「明眸皓歯」とは、澄んで美しい瞳と、白く輝く歯という意味です。
顔立ちの中でも特に目元と口元の美しさに注目した、上品で気品ある容姿の形容として使われます。
- 明眸(めいぼう):澄んで美しい瞳。
- 皓歯(こうし):白く輝く歯。
語源・由来
唐の詩人・杜甫(とほ)が、安史の乱によって荒廃した長安の都を歩きながら詠んだ「哀江頭(あいこうとう)」という詩に由来します。
この詩の中で杜甫は、玄宗皇帝に深く愛されながら馬嵬(ばかい)で命を落とした楊貴妃(ようきひ)を偲び、かつての美しい瞳と歯はどこへ行ってしまったのかと嘆きました。
明眸皓歯今何在
(めいぼうこうし いま いずくにかある)
『哀江頭』杜甫(唐時代)
この一節がもとになり、美しい瞳と歯を持つ人、転じて美貌そのものを指す言葉として定着していきました。
使い方・例文
「明眸皓歯」は、際立って整った目元や口元の美しさを讃える場面で使われます。
- 舞台に立つ彼女は、明眸皓歯という言葉がぴったりの美しさだった。
- 古典の授業で、明眸皓歯という表現の由来を学んだ。
- 写真の中の祖母は、若い頃明眸皓歯の美人だったと聞いている。
類義語・関連語
栄華の儚さを詠んだ鎮魂の言葉
「明眸皓歯」が特別なのは、単なる美人賛美ではなく、栄華の儚さを詠んだ鎮魂の言葉として生まれた点です。
杜甫がこの詩を書いたのは、楊貴妃の死からわずか数年後、彼女が愛でた曲江のほとりが戦火で荒れ果てた光景を目にした時でした。
贅を尽くした宮廷の記憶と、目の前の廃墟という落差が、「明眸皓歯 今 何くにか在る」という一句に凝縮されています。
美しさを描く四字熟語でありながら、その背後には権力の絶頂から転落した一人の女性への哀悼が込められている、という成り立ちを知ると、言葉の重みがまた違って感じられます。









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