目の前に転がってきた思わぬ好機を、見過ごすか、つかみ取るか。
その機会を逃さず利用すべきだという教えを表すのが、「奇貨居くべし」(きかおくべし)です。
意味
「奇貨居くべし」とは、得がたい好機に出会ったら、それを逃さず利用すべきだという意味です。
珍しい品物を手元に置いておけば、いつか大きな利益を生むという発想から、投資や好機全般に対する心構えを表す言葉として使われます。
- 奇貨(きか):珍しい品物、めったにない好機。
- 居くべし(おくべし):手元に置いておくべきだ。
語源・由来
中国の歴史書『史記』の「呂不韋列伝(りょふいれつでん)」に由来します。
戦国時代末期、秦の大商人だった呂不韋は、趙の国に人質として預けられていた秦の王子・子楚(しそ)と出会いました。
不遇な境遇にあった子楚を見た呂不韋は「奇貨居くべし」、つまりこれは珍しい掘り出し物だ、投資する価値があると考えたと伝えられています。
呂不韋は子楚に資金援助を行い、秦の王族への働きかけも重ねた結果、子楚は無事に秦の王となりました。
その恩に報いて呂不韋は秦の丞相(じょうしょう、宰相)に取り立てられ、以後、秦国で絶大な権力を振るうことになったのです。
使い方・例文
ビジネスや投資の場面で、思わぬ好機を逃さず行動すべきだという文脈で使われることが多い言葉です。
- この技術はいずれ主流になる、奇貨居くべしだと判断し出資を決めた。
- 掘り出し物の物件を見つけ、奇貨居くべしとすぐに契約した。
- 若手の才能を見いだした上司は「奇貨居くべし」と言って彼を抜擢した。
類義語・関連語
英語表現
Strike while the iron is hot.
意味:鉄は熱いうちに打て。好機を逃さず行動すべきという教え。
- 例文:
He decided to invest immediately, thinking “strike while the iron is hot.”
彼は「奇貨居くべし」と考え、すぐに投資を決めた。
一人の商人が王朝の行く末を変えた話
呂不韋が投資した子楚は後に秦の荘襄王(そうじょうおう)となり、その息子こそが、のちに中国を統一する始皇帝です。
つまり「奇貨居くべし」という一人の商人の目利きが、結果として中国史上初の統一王朝の誕生にまでつながったことになります。
一介の商人が政治の中枢にまで上り詰めたこの逸話は、好機を見抜く目と大胆な行動力が、時に歴史そのものを動かしうることを示す象徴的な例といえるでしょう。









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