その人が加わったとたんに、計画がこじれ、雰囲気が悪くなる。まるで見えない病を振りまいているかのような疎ましさを人に重ねて呼ぶのが、「疫病神」(やくびょうがみ)です。
意味
「疫病神」とは、伝染病をもたらすとされる神から転じて、次々と厄介事や災難を引き起こす、周囲から嫌われる人を意味します。
本人の意図とは関係なく、そこにいるだけで物事が悪い方向に転がっていくような、迷惑がられる存在への苛立ちが込められた言葉です。
- 疫病(やくびょう):広く流行する伝染病。
- 神(かみ):人知を超えた力を持つ存在。
語源・由来
「疫病神」は、疫病の流行という原因の分からない恐ろしい災いを、それをもたらす神の仕業と考えた古い信仰から生まれた言葉です。
医学が未発達だった時代、伝染病は目に見えない神や霊の力によって運ばれてくるものと考えられ、人々は疫病神を鎮めたり追い払ったりするための祭りや儀式を各地で行ってきました。
やがてこの言葉は実際の病とは離れ、そこにいるだけで物事を悪くする、災いを呼び込むような人物を指す比喩として日常語に転じ、江戸時代の文献にもすでにそうした用法が見られます。
使い方・例文
「疫病神」は、関わるとろくなことがない人物を疎ましく思う場面で使われます。
- あいつが来ると必ずトラブルになる、まさに疫病神だ。
- チームの疫病神と呼ばれた男が、結局異動になった。
- この疫病神め、また余計なことを言い出したな。
類義語・関連語
「疫病神」と同様に、周囲に災いをもたらす嫌われ者を表す言葉には以下のようなものがあります。
牛頭天王という、疫病神と結びついた祇園祭のルーツ
日本三大祭のひとつとして知られる京都・祇園祭は、もともと疫病神を鎮めるための儀式として始まったとされています。
平安時代、都で疫病が大流行した際、その原因を牛頭天王という疫病をつかさどる神の祟りと考え、神を祀って怒りを鎮めようとしたのが起源とされ、これが現在まで続く祇園祭の原型になりました。
疫病神を単に忌み嫌うのではなく、丁重に祀ることで災いを福に転じさせようとする発想は、祟りをもたらす存在を神として祀る日本の信仰に共通して見られる特徴です。









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