慣用句

鎬を削る

(しのぎをけずる)

刀の鎬が削れるほど激しく斬り合う。転じて、互いに一歩も引かず激しく争うこと。

異形:しのぎを削る

7文字の言葉し・じ」から始まる言葉
鎬を削る ことば
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意味

「鎬を削る」とは、刀の鎬が削れるほど激しく斬り合う。転じて、互いに一歩も引かず激しく争うという意味です。

力の差がある戦いには使いません。
実力の近い者どうしが競り合い、決着がつかないまま消耗していく状況を指します。

  • (しのぎ):刀身の、刃と峰の間に走る稜線。
  • 削る(けずる):こすり合わせて表面を減らす。

語源・由来

「鎬を削る」は、刀で斬り合うときの刀身の当たり方から生まれた言い回しです。

鎬は、刀身の刃と峰のあいだを縦に走る少し盛り上がった線を指します。
相手の刀を受け止めたり押し返したりするとき、当たるのは刃そのものではなくこの鎬の部分です。
互いに押し合いが続けば、そこが擦れて削れていきます。
刀が削れるほど長く組み合ったという情景が、そのまま激しい争いのたとえになりました。

南北朝ごろの『曾我物語』には「たがひにしのぎをけづりあひ、時をうつしてたたかひけるに」とあり、時が過ぎるのも忘れて斬り結ぶ場面で使われています。

使い方・例文

「鎬を削る」は、実力の拮抗した相手どうしが激しく競り合う場面で使われます。

  • 二社が新型機の開発で鎬を削っている。
  • 優勝候補どうしが最終節まで鎬を削る展開になった。
  • 激戦区で三人の候補が鎬を削っている。

読み方と書き方の注意点

「凌ぎを削る」は誤り

「しのぎ」を「凌ぎ」と書くのは誤りです。
ここでの「しのぎ」は苦境をしのぐことではなく、刀身の稜線を指す「鎬」です。

仮名で書いてもよい

「鎬」は常用漢字表にない字のため、新聞や公用文では「しのぎを削る」と仮名で書かれます。
どちらの表記も誤りではありません。

類義語・関連語

「鎬を削る」と同じく、互いに引かず競り合うことを表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 火花を散らす(ひばなをちらす):
    刃がぶつかって火花が飛ぶほど、激しくやり合うこと。
  • 切磋琢磨(せっさたくま):
    仲間どうしで励まし合い、互いの力を高め合うこと。

「鎬を削る」と「火花を散らす」の違い

どちらも刃物がぶつかり合う様子から、激しい争いを表す言葉ですが、力点にわずかな違いがあります。「鎬を削る」は刀の鎬が削れるほど、互いに一歩も引かず消耗しながら競り合う様子を指すのに対し、「火花を散らす」は刃がぶつかって火花が飛ぶ、その一瞬の激しさに重きを置きます。

語句重点
鎬を削る
(しのぎをけずる)
引かずに競り合う消耗戦
火花を散らす
(ひばなをちらす)
ぶつかり合う瞬間の激しさ

英語表現

go head-to-head

真正面からぶつかり合うことを表す言い回し。

The two teams went head-to-head all season.
(両チームは一年を通して鎬を削りました。)

刀のどこが当たっていたのか

日本刀は断面が菱形に近く、刃から峰へ向かう途中に鎬という稜線が走っています。
刃で受けると欠けてしまうため、相手の刀を受け流すのはこの鎬の面でした。
この稜線そのものを「鎬筋」、鎬と峰のあいだの平らな面を「鎬地」と呼び、刀身のごく狭い範囲に専用の名前が並んでいます。
江戸時代には、背を高くした形の簪も「しのぎ」と呼ばれました。

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