意味
仏教では悟りそのものを指す言葉で、涅槃とほぼ同じ意味で使われます。
日常では、悩みや執着から抜け出したときの気持ちをやや大げさに言い表す使い方もされます。
- 解(げ):結び目をほどくこと。
- 脱(だつ):抜け出ること。
語源・由来
「解脱」は、古代インドの言葉を漢字に置きかえた訳語です。
梵語の vimukti、vimokṣa などの訳語で、「縛るものを離れて自由になる」という意を表します。
もとの語は、縄目から解き放たれるという具体的な情景を含んでいました。
「解」と「脱」という、どちらもほどけて抜け出ることを表す字を重ねた訳語になっています。
日本では奈良時代の『続日本紀』神亀五年(七二八年)に「三宝の威力に非ずんば、何ぞ能く患苦を解脱せん」という一節が見えます。
仏の力によらなければ苦しみから抜け出せない、という文脈で使われました。
使い方・例文
「解脱」は、仏教の悟りを指すほか、悩みや執着から抜け出した状態をたとえる場面でも使われます。
- 厳しい修行の果てに、解脱の境地に至ったと伝えられる。
- ようやく借金を返し終え、金の心配から解脱した気分だ。
- 煩悩まみれのこの身では、解脱など遠い話に思えてくる。
読み方の注意点
「解脱」はふつう「げだつ」と読みます。
「解」を「かい」と読む「かいだつ」の形もありますが、仏教語として使うときは「げだつ」です。
仏教語には、漢字の音読みのうち古い層である呉音を使う言葉が多くあります。
「解脱」の「げ」も呉音で、「解熱(げねつ)」「解毒(げどく)」と同じ読み方です。
類義語・関連語
「解脱」と同じく、仏教の悟りや迷いのありさまを表す言葉には以下のようなものがあります。
「解脱」と「涅槃」の違い
どちらも仏教の到達点を指し、ほぼ同じ意味で使われます。
違うのは、同じ境地をどちら側から見ているかです。
「解脱」は束縛から抜け出るという、離れていく動きを指します。
いっぽう「涅槃」は梵語ニルヴァーナの音を写した語で、煩悩の火が吹き消された静かな状態そのものを指します。
| 語句 | 見ている側面 | 漢字の成り立ち |
|---|---|---|
| 解脱 (げだつ) | 束縛から抜け出る動き | 意味を訳した語 |
| 涅槃 (ねはん) | 火が消えた静かな状態 | 音を写した語 |
英語表現
liberation
束縛から解き放たれること、という意味で、仏教の解脱の訳語として使われる語。
Buddhism teaches the path to liberation from suffering.
(仏教は苦しみからの解脱に至る道を説きます。)
let go of
執着していたものを手放す、と日常の場面で使う言い回し。
He finally let go of his anger.
(彼はようやく怒りから解脱しました。)
訳語のもとになった梵語
「解脱」がどの梵語に当たるかは、一つに定まっているわけではありません。
候補としては vimukti、vimokṣa、mokṣa、mukti などがあり、いずれも束縛からの解放を表す語です。
もとのインドの言葉には、束縛からの解放を表す語がいくつもあり、それらがまとめて「解脱」という一語に訳されました。
訳語の側が原語より少ないため、日本語の「解脱」は元の言葉より広い範囲を指しています。









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