意味
「物は言いよう」とは、同じ内容でも、言い方次第でよくも悪くも受け取られるという意味です。同じ事実を別の言葉に置き換えた場面で、その言い回しへの感想として持ち出され、「まったく物は言いようだ」のように言い回しのうまさに感心する形で使われるのが典型です。
構成要素は、以下のように分解できます。
- 物(もの):ここでは物事のこと。
- 言いよう(いいよう):言い方。言い表し方。
語源・由来
「物は言いよう」は、特定の書物から生まれた言葉ではなく、話し言葉のなかで育った言い回しです。
「物は言いなし」「事は言いなし」という別の形もあり、古くはその「言いなし」の形で使われていました。
江戸前期の仮名草子『悔草』(1647年)に「物は云なし。事は聞なし」とあり、言うほうの言い方と、聞くほうの受け取り方を並べた形になっています。
使い方・例文
「物は言いよう」は、同じ内容が別の言葉で語られたのを聞いた場面で使われます。
- 中古品を「ビンテージ」と呼ぶとは、物は言いようだ。
- 失敗を「よい経験」と言い換えるとは物は言いようである。
- 物は言いようで、断り文句も丁寧に伝えれば角が立たない。
類義語・関連語
「物は言いよう」と同じく、言葉の選び方が相手の受け取り方を左右することを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 物も言いようで角が立つ(ものもいいようでかどがたつ):
内容が正しくても、言い方しだいで相手を不快にさせてしまうこと。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
不用意な発言が原因で、自分に災難を招いてしまうこと。 - 舌先三寸(したさきさんずん):
口先だけで中身の伴わない、巧みな言葉。 - 美辞麗句(びじれいく):
うわべだけを美しく飾り立てた、中身の伴わない言葉。
「物は言いよう」と「物も言いようで角が立つ」の違い
どちらも言い方が受け取られ方を決めると述べるもので、形もよく似ています。
「物は言いよう」はよくも悪くもなるという両方向を指し、「物も言いようで角が立つ」は悪いほうに転ぶ場合だけを取り上げます。
| 語句 | 指す向き | 使う場面 |
|---|---|---|
| 物は言いよう (ものはいいよう) | よい方にも悪い方にも | 言い換えを聞いたとき |
| 物も言いようで角が立つ (ものもいいようでかどがたつ) | 悪い方だけ | 言い方をとがめるとき |
英語表現
spin
事実そのものは変えずに、都合よく聞こえるように語り方を変えることを表す動詞。
They tried to spin the bad results as a learning opportunity.
(彼らは悪い結果を学びの機会だと言い換えようとしました。)
sugarcoat
好ましくない話を、聞こえのよい形にして伝えることを表す動詞。
Don’t sugarcoat it, just tell me what happened.
(よく聞こえるように言わなくていいので、何があったか話してください。)
「言いよう」という形
動詞の連用形に「よう」を付けると、「その仕方」という意味の言葉ができます。
「使いよう」「やりよう」「言いよう」はいずれもこの形です。
打ち消しと組んだ「言いようがない」「手のつけようがない」は、その方法が見当たらないことを表します。









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