意味
「物は試し」とは、うまくいくかどうかもよしあしも、実際にやってみなければ分からないのだから、まず一度試してみたほうがよいという考え方です。
迷っている相手を後押しするときにも、自分で思い切って手をつけるときにも使われます。
かな書きの「ものは試し」の形も広く使われます。
- 物(もの):ここでは物事一般のこと。
- 試し(ためし):実際にやってみること。
語源・由来
「物は試し」は、日常の言い回しとして古くから使われてきた言葉です。
夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905〜06年)には、「物はためしだ、どうせ駄目だろうが」という形で出てきます。
使い方・例文
「物は試し」は、やるかどうかで迷いが残っている場面で使われます。
- 不安なのは分かるが、物は試しで一度応募してみたらどうだ。
- 物は試しと思って、初めての土地で小さな店を開いてみた。
- 効くかどうかは分からないが、物は試しで飲んでみるか。
類義語・関連語
「物は試し」と同じように、迷う前にまず動いてみることをすすめる言葉には以下のようなものがあります。
- 案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし):
あれこれ心配するより、実際にやってみると案外たやすいということ。 - 当たって砕けろ(あたってくだけろ):
成否を考えず、思い切ってぶつかっていけということ。 - 習うより慣れろ(ならうよりなれろ):
人に教わるより、自分で何度もやるほうが早く身につくということ。 - 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず):
危険を冒さなければ、大きな成果は得られないということ。
「物は試し」と「案ずるより産むが易し」の違い
どちらもやる前に考え込むより動けと言う言葉ですが、結果をどこまで見通しているかが違います。
「物は試し」は結果が分からないことを前提にし、「案ずるより産むが易し」はやってみれば案外たやすいという見通しまで示します。
| 語句 | 結果の見通し | 使う場面 |
|---|---|---|
| 物は試し (ものはためし) | 分からないという前提 | やるかどうか迷っているとき |
| 案ずるより産むが易し (あんずるよりうむがやすし) | 案外たやすいという見通し | 心配しすぎているとき |
対義語
「物は試し」と正面から対立する、まず用心せよという言葉には以下のようなものがあります。
- 石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる):
用心の上にも用心を重ねて物事を行うこと。 - 君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず):
教養のある人は、危険なことに自分から近づかないということ。
英語表現
worth a try
うまくいくかは分からないが、やってみるだけの値打ちはあるという言い方。
It might not work, but it is worth a try.
(うまくいかないかもしれませんが、やってみる値打ちはあります。)
give it a try
ためしに一度やってみることをすすめる表現。
Just give it a try before you decide.
(決める前に、まずためしてみてください。)
「物は」で始まることわざ
「物は」で始まる言い方は、いくつもあります。
物事は相談してみるものだという「物は相談」、同じことでも言い方によって印象が変わるという「物は言いよう」、考え方しだいでよくも悪くも受け取れるという「物は考えよう」、使い方ひとつで役に立ちも立たなくもなるという「物は使いよう」です。
いずれも「物は」のあとに、試す・相談する・言う・考える・使うという動作を表す言葉が続きます。
このうち「物は相談」には、相談を持ちかけるときの呼びかけという二つ目の意味もあります。









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