意味
「両雄並び立たず」とは、力の匹敵する二人の英雄が同時に現れれば、必ず争いになってどちらかが倒れるという意味です。
実力の近い二人が同じ組織や同じ分野に居合わせた場面で使われることわざです。
- 両雄(りょうゆう):二人の英雄。二人のすぐれた人物。
- 並び立つ(ならびたつ):対等の位置に並ぶこと。
語源・由来
「両雄並び立たず」は、中国の歴史書『史記』の酈生伝に出てくる「両雄倶には立たず」という言葉がもとになっています。
紀元前三世紀の終わり、漢の劉邦と楚の項羽が激しい争いをくり広げていたころの話です。
劉邦に仕える酈食其という弁論の士が、劉邦と項羽という二人の英雄はどちらかが滅びる運命にあると述べ、このままでは人々の気持ちも動揺するばかりだから、有利な根拠地を早く確保して、どちらが優勢なのかをはっきりさせるべきだと主張しました。
この進言は『史記』の巻九十七に収められ、劉邦が拠点を捨てて後ろへ引こうとしていた場面のものです。
使い方・例文
「両雄並び立たず」は、力の近い二人が同じ場に並んだあとの行方を語る場面で使われます。
- 両雄並び立たずか、副社長は結局この春で会社を去った。
- 二人の名将を同じ球団に置いても両雄並び立たずで終わる。
- 合併後の主導権争いは、まさに両雄並び立たずの展開だ。
類義語・関連語
「両雄並び立たず」と同じように、力の並んだ者どうしが同時には立てないことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 天に二日無し(てんににじつなし):
天に二つの太陽がないように、一国に二人の君主があってはならないということ。 - 竜虎相搏つ(りゅうこあいうつ):
力の伯仲した二人の強豪が勝負すること。 - 群雄割拠(ぐんゆうかっきょ):
多くの実力者がそれぞれ地盤を占め、たがいに勢力を競い合っていること。
「両雄並び立たず」と「竜虎相搏つ」の違い
どちらも力の釣り合った二人がぶつかることを表すため、置きかえて使えそうに見えます。
ただし「両雄並び立たず」はどちらかが倒れるという行き着く先を言い、「竜虎相搏つ」は勝負している場面そのものを指します。
| 語句 | 指すところ | 勝敗 |
|---|---|---|
| 両雄並び立たず (りょうゆうならびたたず) | 二人が並んでいられないこと | どちらかが倒れると言い切る |
| 竜虎相搏つ (りゅうこあいうつ) | 二人が勝負する場面 | 結果には触れない |
耒を手放した農夫たち
『史記』の原文では、「且両雄不倶立(まさに両雄倶には立たず)」に続けて「楚漢久相持不決、百姓騒動、海内揺蕩、農夫釈耒、工女下機」と記されています。
楚と漢のにらみ合いが長引いて決着がつかず、人々は落ち着かず、農夫は耒を手放し、機織りの女は機から下りてしまった、という意味です。
酈食其がこの言葉で訴えたのは、二人の英雄の優劣そのものより、争いの長期化で疲弊していく庶民の暮らしでした。










コメント