意味
「深山幽谷」は、人里から遠く離れた土地の静けさを言い表すときに使われます。
どちらも奥深い場所を指す「深山」と「幽谷」を重ねた四字熟語で、人けがなく、ひっそりとした奥深い山や谷を表します。
- 深山(しんざん):人里から遠く離れた奥深い山。
- 幽谷(ゆうこく):奥深いところにある静かな谷。
語源・由来
「深山幽谷」は、中国の古い書物『列子』の「黄帝」に出てくる言葉です。
周の宣王に仕えて鳥や獣を飼っていた梁鴦という役人が、猛獣を手なずける秘訣をたずねられて答える場面で使われます。
梁鴦は、逆らわせず怒らせないという飼い方を語ったうえで、「私の園で遊ぶ獣は高い林や広い沢を思わず、私の庭で眠る獣は深山幽谷に帰りたいとは願わない」と述べます。
使い方・例文
「深山幽谷」は、人の手が届かない山奥の景色や、そこに身を置く暮らしを語る場面で使われます。
- 沢を三時間さかのぼると、そこはもう深山幽谷だった。
- 祖父は退職後、深山幽谷に小屋を建てて暮らしている。
- 深山幽谷に分け入り、一日じゅう鳥の声だけを聞いた。
類義語・関連語
「深山幽谷」と同じように、人の手が加わっていない自然の姿を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 千山万水(せんざんばんすい):
山また山、川また川と続くはるかな道のり。 - 山紫水明(さんしすいめい):
日の光に山が紫に見え、川の水が澄みきった眺め。 - 白砂青松(はくしゃせいしょう):
白い砂浜と青い松林がつくる美しい海辺。 - 桃源郷(とうげんきょう):
俗世を離れた、争いのない理想の地。
「深山幽谷」と「山紫水明」の違い
どちらも山と水のある風景を言い表しますが、目を向けている点が違います。
「深山幽谷」は人の気配のない奥深さを、「山紫水明」は光と水の清らかさを言った言葉です。
| 語句 | 目を向ける点 |
|---|---|
| 深山幽谷 (しんざんゆうこく) | 人けのない山と谷の奥深さ |
| 山紫水明 (さんしすいめい) | 山の色と水の澄んだ清らかさ |
英語表現
the back of beyond
大きな町から遠く離れた土地を指す、くだけた言い方。
Their cabin stands in the back of beyond.
(彼らの小屋は人里離れた奥地に建っています。)
魑魅魍魎と山精が住む山奥
人の入らない山奥は、古くから正体の知れないものが住む場所とされてきました。
「魑魅魍魎」は山や川のさまざまな化け物をまとめて呼ぶ言葉で、「山精」は山の精霊ややまびこを指します。
「深山幽谷」が指すのは、こうした言葉が生まれるほど人の近づかない場所です。










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