慣用句

奥歯に物が挟まる

(おくばにものがはさまる)

相手に遠慮したり裏に事情があったりして、思うことをはっきり言わないこと。また、何かが心にひっかかって残ること。

異形:奥歯に物が挟まったよう

11文字の言葉」から始まる言葉
奥歯に物が挟まる ことば
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意味

「奥歯に物が挟まる」は、歯の間に食べかすが残ったときの口の中の落ち着かなさを、人の話しぶりや気持ちに移した言い方です。
話す側について使うと、相手に心を開ききらず、わざとはっきり言わないという意味になります。
聞く側について使うと、相手との間になんとなくへだたりを感じる、あるいは何かが心にひっかかって残るという意味になります。

  • 奥歯(おくば):口の奥にあり、食べ物をすりつぶす歯。
  • 挟まる(はさまる):物と物との間に入り込んで動かなくなる。

語源・由来

「奥歯に物が挟まる」は、特定の書物の一節から生まれた言葉ではありません。
多くは「奥歯に物が挟まったような」の形で使われ、話しぶりや気持ちのありようをたとえます。

使い方・例文

「奥歯に物が挟まる」は、相手の話しぶりがすっきりせず、もどかしく感じる場面で使われます。

  • 部長の返事はいつも奥歯に物が挟まったような言い方だ。
  • 奥歯に物が挟まる言い方はやめて、結論から話してほしい。
  • 彼の説明はどこか奥歯に物が挟まった感じがした。

類義語・関連語

「奥歯に物が挟まる」と同じように、思っていることをそのまま口にしない様子を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 言葉を濁す(ことばをにごす):
    都合の悪いことをあいまいに言い、はっきりさせないこと。
  • お茶を濁す(おちゃをにごす):
    いいかげんな言動でその場を取り繕い、やり過ごすこと。
  • 曖昧模糊(あいまいもこ):
    物事の中身がぼんやりとして、つかみどころのないさま。

「奥歯に物が挟まる」と「言葉を濁す」の違い

どちらもはっきり言わない態度を指すため、入れ替えて使われることがあります。
「奥歯に物が挟まる」は話しぶり全体がすっきりしない様子を言い、「言葉を濁す」は答えにくいところだけをぼかす言い方を指します。

語句指すものぼかし方
奥歯に物が挟まる
(おくばにものがはさまる)
話しぶり全体の感じ言い切らない
言葉を濁す
(ことばをにごす)
受け答えの言葉答えにくい所をあいまいに

対義語

「奥歯に物が挟まる」とは反対に、思ったことをそのまま口にする様子を表す言葉があります。

  • 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ):
    遠慮せず、思ったことをはっきりと言うこと。
  • 単刀直入(たんとうちょくにゅう):
    前置きを省き、いきなり本題や核心に切り込むこと。

英語表現

beat around the bush

やぶの周りをたたいて回るという言い方から、核心に触れずに遠回しな話し方をすることを指す表現。

Stop beating around the bush and tell me what happened.
(遠回しに言うのはやめて、何があったのか教えてください。)

はっきり言わない理由は歯そのものにあった

奥歯の間に物が挟まると、発音が不明瞭になり、話し方がすっきりしなくなります。
「奥歯に物が挟まる」は、この感覚を、率直に言わない話し方の比喩として使ったものです。

明治の思想家・田口卯吉たぐちうきちが書いた『条約改正論』(1889年)には、「改進党の新聞などは何にか奥歯に物がハサマリたる様に喋々いたします」という一節があり、はっきりしない言い方を批判する文脈でこの表現が使われています。

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