四字熟語

天涯孤独

(てんがいこどく)

血縁も知り合いも、頼れる相手が誰一人いないこと。


7文字の言葉て・で」から始まる言葉
天涯孤独 ことば
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意味

「天涯孤独」とは、広い世界のどこにも身を寄せる先がないという、寄る辺のなさを表す四字熟語です。
一方で悲観的な響きを伴わず、古里を離れて見知らぬ土地にただ一人立つことを表す場合もあり、自らの意志による選択であることも少なくありません。

  • 天涯(てんがい):空の果て。転じて、遠く離れた異郷。

語源・由来

「天涯孤独」を形づくる「孤独」は、中国の思想家である孟子が説いた「鰥寡孤独(かんかこどく)」という言葉に由来します。
孟子は、老いて妻のない者を鰥(かん)、老いて夫のない者を寡(か)、老いて子のない者を独(どく)、幼くして父のない者を孤(こ)と呼び分け、この四者こそ世の中で最も助けを求める先がない人々だと梁の恵王に説きました。
もともと「孤」は親を失った幼い子ども、「独」は子のない年老いた者だけを指す、それぞれ別の言葉だったのです。

もう一方の「天涯」は、空の果てを意味する言葉として中国の詩文に古くから登場し、故郷を遠く離れた土地を指す言い方として使われてきました。
この「天涯」と「孤独」が結びつき、遠く離れた地でひとり寄る辺なく生きる境遇を表す「天涯孤独」という四字熟語が生まれました。

使い方・例文

「天涯孤独」は、家族や身寄りを失った境遇を語るときや、あえて一人で生きる道を選んだ場面で使われます。

  • 両親を早くに亡くし、天涯孤独の身の上となって久しい。
  • 定年後は天涯孤独を自ら望み、静かな離島でひとり暮らす。
  • 天涯孤独だからこそ、自由に生きられる」と彼は笑った。

類義語・関連語

「天涯孤独」と同じく、頼る人がいない境遇を表す言葉に、次のようなものがあります。

  • 鰥寡孤独(かんかこどく):
    老いて連れ合いのない者や、親も子もない者をまとめて指す言葉。

「天涯孤独」と「鰥寡孤独」の違い

どちらも「孤」「独」の字を共有するため紛らわしく感じられますが、指す対象の範囲が異なります。
「天涯孤独」がある一人の境遇を表すのに対し、「鰥寡孤独」は保護されるべき四種類の人々をまとめて指す言葉です。

語句対象視点
天涯孤独
(てんがいこどく)
一人の人物個人の寂しい境遇、または一人で生きる心境
鰥寡孤独
(かんかこどく)
四種類の弱者の総称為政者が救うべき対象という社会的な視点

英語表現

alone in the world

身寄りがなく、ひとりぼっちで生きる状態を示す平易な表現。

After her parents passed away, she was alone in the world.
(両親を亡くし、彼女は天涯孤独の身となりました。)

without kith or kin

血のつながる者も親しい知人も一人もいないことを示す、古風な言い回し。

He wandered from town to town, without kith or kin to call his own.
(彼は身寄りもなく、町から町へとさすらいました。)

父のない子と、子のない老人

孟子が「鰥寡孤独」で呼び分けた四種類の人のうち、「天涯孤独」に使われているのは「孤」と「独」の二字です。
「孤」はもともと父を亡くした幼い子どもを、「独」は子のない老人だけを指す言葉で、対象となる年齢も境遇もまったく異なっていました。
ところがこの二字が結びついて一つの熟語になると、年齢や立場の違いは失われ、「頼る人が誰もいない」という一点だけが意味として残りました。
二つの字が本来持っていた区別は、熟語になる過程でそぎ落とされています。

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