意味
「常在」は常にその状態が続くこと、「戦場」は文字通り戦いの場を指し、この二語を組み合わせた「常在戦場(じょうざいせんじょう)」は、平時であっても常に戦場にいるつもりで気を引き締め、物事に臨むべきだという心構えを表す四字熟語です。
もともとは武士の心得として使われた言葉ですが、現在は政治家や経営者が自らを戒める場面でよく引用されます。
語源・由来
「常在戦場」は、中国の歴史書『三国志』呉書に登場する言葉です。呉の武将である朱然(しゅぜん)を評した一節に「終日欽欽、常在戦場」とあり、一日中気を引き締め、常に戦場にいるかのように振る舞った人物として描かれています。
日本では、越後長岡藩(現在の新潟県長岡市)の藩訓としてこの四字が伝わりました。戊辰戦争で新政府軍と戦った家老の河井継之助(かわいつぎのすけ)が揮毫したと伝わる「常在戦場」の書は、現在も長岡高等学校の記念資料館に所蔵されています。
使い方・例文
「常在戦場」は、政治家や経営者が自らの心構えを語るときや、気の緩みを戒める場面で使われます。
- 彼は「常在戦場」を座右の銘とし、絶好調の時こそ気を抜かない。
- 新人研修で上司は「常在戦場の心構えを持て」と説いた。
類義語・関連語
「常在戦場」と同じく、平穏なときこそ油断せず備えるべきだという考えを表す言葉に、次のようなものがあります。
- 居安思危(きょあんしき):
安らかなときにこそ、来るべき危険に備えるべきだという教え。
「常在戦場」と「居安思危」の違い
どちらも平時の油断を戒める点で共通しますが、視点の置きどころが異なります。
「常在戦場」は個人の心構えや緊張感そのものを主眼としているのに対し、「居安思危」は組織や国の運営における危機管理の発想として使われることが多い言葉です。
| 語句 | 主眼 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 常在戦場 (じょうざいせんじょう) | 個人の心構え・緊張感 | 経営者・政治家の座右の銘 |
| 居安思危 (きょあんしき) | 組織・国家の危機管理 | 政治・外交の文脈 |
英語表現
always be prepared
常に備えを怠らない心構えを表す言い方。
The company motto is to always be prepared for a sudden change in the market.
(その会社の社是は、市場の急変にも常在戦場の心構えで臨むというものです。)
keep your guard up
気を緩めず、警戒を続ける姿勢を表す言い方。
Even after the big win, the coach told the team to keep their guard up.
(大勝したあとも、監督は選手たちに常在戦場の姿勢を崩すなと伝えました。)
牛久保の壁書に記された第一条
「常在戦場」は、戦国時代に三河国牛久保(現在の愛知県豊川市)を治めていた牧野家に伝わる家訓が由来とされています。
今川・武田・織田・松平といった大勢力に囲まれながら生き延びた牧野家が、常に緊張感を持って事に当たるべきだという心得を明文化したもので、「牛久保の壁書」と呼ばれる家訓の第一条に置かれていました。
牧野家はその後、元和四年(1618年)に牧野忠成が越後長岡藩の藩主となったことで、「常在戦場」は長岡藩の藩訓としても受け継がれました。
長岡出身の海軍軍人・山本五十六は、揮毫を頼まれるとしばしばこの四字を書いたと伝えられ、藩に伝わった家訓が近代以降も地元ゆかりの人物によって書き継がれてきたことがうかがえます。












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