意味
「死屍累々(ししるいるい)」とは、折り重なるように倒れた無数の死体が、見渡す限り連なっている凄惨な光景を表す四字熟語です。
文字どおりの惨状だけでなく、事業の失敗や試験の不合格など、多くの人や物が同じように打撃を受けて倒れている状態を誇張して言うときにも使われます。
- 死屍(しし):死体のこと。
- 累々(るいるい):数多くのものが積み重なっている様子。
語源・由来
「累々」は、死体に限らず、山のように積み重なったものを形容する言葉として古くから使われてきました。
それが死体を意味する「死屍」と結びつくことで、戦場や災害の跡に横たわる無数の亡骸という、より具体的で凄惨な情景を描き出す四字熟語になったと考えられます。
使い方・例文
「死屍累々」は、戦場や災害の惨状を描写する場面のほか、大量の失敗や敗北を誇張して表す場面でも使われます。
- 激戦のあとの野は死屍累々で、足の踏み場もなかったという。
- 物価の高騰が続けば、年末には中小企業が死屍累々となりかねない。
- 合宿最終日の道場には、疲れ果てた部員が死屍累々と横たわっていた。
小説での使用例
『門』(夏目漱石)
清水谷から弁慶橋へ続く泥溝で、寄り添って浮かぶ蛙の夫婦が、通りかかった小僧や暇な人に石を打ちつけられて数え切れないほど死んでいきます。
その話をした家の主人が、こう評する場面です。
死屍累々とはあの事ですね。それが皆夫婦なんだから実際気の毒ですよ。
類義語・関連語
「死屍累々」と同じく、戦いのむごたらしい爪痕を表す四字熟語に次のものがあります。
- 屍山血河(しざんけつが):
死体が山のように積み重なり、血が川のように流れること。
「死屍累々」と「屍山血河」の違い
どちらも死体が積み重なる凄惨さを表しますが、視点の広さが異なります。
「死屍累々」は死体そのものが連なる光景を指し、比喩として戦い以外の惨状にも使えるのに対し、「屍山血河」は血の川まで含めた戦場全体の規模を表し、激しい戦闘を離れた場面では使いにくい言葉です。
| 語句 | 指す範囲 |
|---|---|
| 死屍累々 (ししるいるい) | 死体が連なる光景。比喩にも使える |
| 屍山血河 (しざんけつが) | 血の川まで含む戦場全体の惨状 |
英語表現
be littered with bodies
ある場所一面に死体が散らばっている様子を表す言い方。
After the battle, the field was littered with bodies.
(戦いの後、戦場は死屍累々だった。)
昭和初めの円本合戦は「死屍累々」と評された
1926年(大正15年)、改造社が1冊1円の全集を売り出し、翌年からは各社が次々に続いて「円本」が大流行しました。
政府批判で知られたジャーナリストの宮武外骨は、1928年(昭和3年)の小冊子『一円本流行の害毒と其裏面談』で、このブームを批判しています。
外骨は、途中で行き詰まる全集が相次ぐさまを戦にたとえ、「餓死、切腹、討ち死、討たれ死の多い死屍累々」と書きました。
倒れているのは人ではなく、出版社の事業です。
多くの事業が打撃を受けて倒れたありさまを「死屍累々」と言う比喩の使い方が、ここに見られます。









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