意味
「一筆啓上(いっぴつけいじょう)」とは、手紙の冒頭で使う、謹んでひとこと申し上げますといったへりくだった挨拶の文句という意味です。
かつて男性が普通の手紙の書き出しに用いた言葉で、「拝啓」と同じく、本文に入る前に置く形式的な言い回しです。
- 一筆(いっぴつ):ちょっと書くこと、簡単な文章。
- 啓上(けいじょう):申し上げること。
語源・由来
「一筆啓上」は、「簡単に申し上げます」という意味の手紙の書き出しで、「一筆啓上仕候」「一筆令啓上候」などの形で書かれました。
この語で始まる文として有名なのが、戦国武将・本多作左衛門重次が1575年の長篠の戦いの陣中から妻に宛てた手紙とされる「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」で、日本一短い手紙として知られています。
「お仙」は嫡男の仙千代のことで、火の用心、仙千代を泣かせるな、馬を大事に育てよ、という三つの用件だけを伝えています。
ただし、実際の手紙の文は「一筆申す 火の用心 お仙痩さすな 馬肥やせ かしく」で、「一筆啓上」の形は後に広まった言い回しです。
使い方・例文
「一筆啓上」は、改まった手紙の冒頭で、これから用件を述べますという意味で使われます。
- 一筆啓上、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 師匠にあてた手紙は、一筆啓上から始まる古風な書き出しにした。
この手紙をたたえる「日本一短い手紙」コンクールが今も続く
本多作左衛門重次の嫡男・仙千代(のちの本多成重)は、1613年に越前丸岡(今の福井県坂井市)の領主となりました。
この縁から坂井市では、旧丸岡町時代の1993年から「日本一短い手紙」を募集する「一筆啓上賞」を開いており、丸岡城には「一筆啓上」の碑が建てられています。









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