意味
「浮足立つ(うきあしだつ)」とは、恐れや不安で足元が定まらず、腰が引けてしまうという意味です。
危険や不利な状況を前に、今にも逃げ出しそうな心の揺れを表す言葉です。
語源・由来
「浮足」とは、かかとが地面から浮いて、つま先立ちのようになった不安定な足取りのことです。
「浮足立つ」にも、かかとが上がってつま先立ちになるという、体の様子そのものを表す意味があります。
地に足のつかないこの足取りになぞらえて、恐れや不安で落ち着きを失い、逃げ腰になる様子を表します。
使い方・例文
- 相手の猛攻を受け、守備陣がすっかり浮足立ってしまった。
- 不祥事の報道が流れると、社内は一気に浮足立った。
誤用・注意点
文化庁の令和元年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」で使う人が26.1パーセント、「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」で使う人が60.1パーセントでした。
喜びや期待でそわそわする意味は俗な使い方で、本来は恐れや不安で落ち着きを失う意味の言葉です。
楽しみで気持ちが浮き立つ様子を伝えたいときは「浮き立つ」「心が弾む」を使うほうが正確です。
類義語・関連語
この言葉と同じように、不安で落ち着きを失う様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 腰が引ける(こしがひける):
気後れして、物事に消極的な態度になること。 - 怖気づく(おじけづく):
恐ろしさのあまり、気持ちがくじけること。
「浮足立つ」と類義語の違い
どれも及び腰になる様子を表しますが、何が揺らいでいるかで分かれます。
| 語句 | 何が揺らぐか |
|---|---|
| 浮足立つ (うきあしだつ) | 不安で落ち着きを失った、体と心の両方 |
| 腰が引ける (こしがひける) | 消極的な態度という、行動の表れ方 |
| 怖気づく (おじけづく) | 恐ろしさで気持ちがくじける、内面の変化 |
対義語
反対に、動揺せず落ち着き払っている様子を表す言葉は以下の通りです。
- 泰然自若(たいぜんじじゃく):
どんな事態に直面しても、落ち着き払っている様子。
英語表現
英語では、次のような言い方でこの落ち着きのなさを表します。
be rattled
予想外の展開に動揺し、平常心を失うことを指す言い方。
The staff were rattled by the sudden inspection.
(突然の視察に、スタッフは浮足立ちました。)
菊池寛『形』に出てくる「浮足立つ」
菊池寛の短編小説『形』には、「猩々緋の武者の前には、戦わずして浮き足立った敵陣が、中村新兵衛の前には、ビクともしなかった。」という一文があります。
「鎗中村」と恐れられた中村新兵衛は、目印の猩々緋と唐冠の兜を初陣の若い侍に貸し、自分は黒皮縅の鎧で戦いに出ました。
敵は猩々緋の武者を見ただけで逃げ腰になりましたが、いつもと違う姿の新兵衛には少しも恐れず、勢いづいて向かってきます。
新兵衛は苦戦の末、敵の鎗に脾腹を貫かれます。










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