意味
「寸善尺魔(すんぜんしゃくま)」とは、この世はよいことがわずかしかなく、悪いことのほうがはるかに多いという意味です。
また、よいことが少しあっても、きまって悪いことが起きてじゃまをするという意味でも使います。
語源・由来
この言葉は、一寸の善と一尺の魔、という意味の組み立てです。
寸と尺はどちらも昔の長さの単位で、一尺は一寸の十倍にあたります。
魔は、よいことをさまたげる悪いものを指し、善の小ささと魔の大きさを長さで比べています。
使い方・例文
- 久しぶりの休日に出かけたら、雨に降られ、電車は止まり、財布まで落とした。まさに寸善尺魔だ。
- 祖父は、世の中は寸善尺魔だから浮かれるなと、よく口にしていた。
- やっと一勝したのにエースが長期離脱とは、寸善尺魔とはこのことだ。
小説での使用例
太宰治の小説『ヴィヨンの妻』(1947年)に、この言葉が出てきます。
中野で小さな料理屋を営む主人が、三年もの間、店で酒代を払わずに飲み続けた詩人・大谷の妻に向かって、自分たち夫婦のこれまでを語る場面です。
人間の一生は地獄でございまして、寸善尺魔、とは、まったく本当の事でございますね。
一寸の仕合せには一尺の魔物が必ずくっついてまいります。
主人はこのあと、大谷が初めて店に来た夜のことを話し出し、大谷のことを「魔物」とも呼んでいます。
類義語・関連語
よいことにはじゃまが入りやすい、という二つ目の意味に近い言葉です。
「寸善尺魔」と類義語の違い
三つとも、よいことに悪いことが割り込むという点で重なります。
ただ「寸善尺魔」には、世の中はそもそも悪いことのほうが多い、というもう一つの意味があり、好事魔多しと月に叢雲花に風にはこの意味がありません。

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