意味
「三舎を避ける(さんしゃをさける)」とは、相手を恐れはばかって、出会うのを避けるという意味です。
そこから、相手の力が遠く及ばず、一目置くという意味でも使われます。
「三舎を譲る」とも言います。
- 舎(しゃ):昔の中国で、軍隊が一日に進む道のり。三十里。
- 三舎(さんしゃ):軍隊の三日分の道のり。約三十六キロメートル。
語源・由来
この言葉は、中国の歴史書『春秋左氏伝』の僖公二十三年(= 魯の国の僖公の治世の二十三年目)の記事から出ています。
紀元前七世紀、晋の国の公子(= 君主の子)の重耳は、国を追われて諸国を渡り歩いていました。
楚の国に着くと、楚の王が重耳をもてなし、晋に帰れたら何で恩を返してくれるのかと尋ねます。
重耳の答えが、次の一節です。
若以君之靈,得反晉國,晉楚治兵,遇於中原,其辟君三舍。
(もしあなたのおかげで晋に帰ることができ、晋と楚が兵を構えて中原(= 中国の中心の地域)で出会うことになったら、あなたを避けて三舎退きましょう。)
「辟」は「避ける」と同じ意味で、この「君を辟くること三舎」が言葉のもとになっています。
使い方・例文
- 気難しい編集長には、記者たちが三舎を避けて近寄ろうとしない。
- 彼女の鋭い質問には、会議に出たベテラン社員たちも三舎を避けた。
- 新入部員の将棋の腕前には、三年生も三舎を避けるほどだった。
類義語・関連語
相手の力が自分より上だと認める場面で使う言葉です。
「三舎を避ける」と類義語の違い
どれも相手の力を認めるときに使う言葉です。
「一目置く」は敬意を払うこと、「歯が立たない」は向かっていっても対抗できないことを言い、どちらにも相手を避けて近寄らないという意味はありません。
「三舎を避ける」は、恐れはばかって相手から身を引く様子まで表します。
英語表現
give someone a wide berth
人や場所を避けて、近寄らない意の句。
The junior reporters gave the strict editor a wide berth.
(若手の記者たちは、厳しい編集長には三舎を避けていた。)
三舎退いた晋、城濮で楚を破る
晋に戻って君主となった重耳は、『春秋左氏伝』の僖公二十八年の記事で、楚の軍と向き合うことになります。
楚の将軍の子玉が軍を進めてくると、晋の軍は退きました。
君主が臣下を避けるのは恥だ、と不満を言う軍の役人に対して、重耳の家臣の子犯は次のように答えています。
微楚之惠不及此,退三舍辟之,所以報也。
(楚の恩が無ければ、ここまで来られなかった。三舎退いて避けるのは、その恩に報いるためである。)
晋の軍が三舎退くと、楚の兵たちはそこで止まろうとしましたが、子玉は聞き入れずに追ってきました。
両軍は城濮で戦い、晋が楚を破りました。

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