意味
「夜目遠目笠の内(よめとおめかさのうち)」とは、はっきりと見えない状態では、対象が実際よりも美しく見えるという意味のことわざです。
欠点が見えにくい状況下では、人間の心理がそれを好意的に補ってしまい、過大評価しがちであることを教えています。
- 夜目(よめ):夜の暗がりで見ること。
- 遠目(とおめ):遠く離れた場所から見ること。
- 笠の内(かさのうち):笠を被り、顔の一部が隠れた状態を見ること。
多くは女性の容姿についていう言葉です。
はっきり見えないために、人の姿や物が実際よりよく見える場合にも使います。
語源・由来
「夜目」「遠目」「笠の内」と、姿がはっきり見えない三つの場合を並べた言葉です。
暗がりや遠くから見るだけなら、見ている相手は人に限りません。
三つ目に「笠の内」を置くことで、笠をかぶった人、とりわけ女性の顔を見る場面だと分かる作りになっています。
前半だけを取って「夜目遠目」ということもあります。
使い方・例文
「夜目遠目笠の内」は、期待が膨らみすぎている状況への戒めや、実物とのギャップを感じた際などの文脈で使われます。
現代では「笠」を「マスク」や「SNSの加工画像」などに置き換えて語られることも多い言葉です。
例文
- 客席から眺めていた彼は夜目遠目笠の内で、握手会で間近に見ると印象がずいぶん違った。
- 憧れの先輩と初めて対面したが、まさに夜目遠目笠の内であった。
- 暗い店内の雰囲気も手伝って、夜目遠目笠の内で料理がより輝いて見えた。
誤用・注意点
この言葉は、その成り立ちから「はっきり見ればそれほどでもない」という皮肉や冷やかしのニュアンスを強く含んでいます。
そのため、特定の個人に対して直接使うのは極めて失礼です。
たとえ冗談のつもりであっても、相手の容姿を否定することに繋がりかねないため、使用する場面には細心の注意が必要です。
基本的には、自分自身の経験を自虐的に語る際や、客観的な心理現象を説明する表現として留めておくのが賢明です。
類義語・関連語
「夜目遠目笠の内」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 遠目山越し笠の内(とおめやまごしかさのうち):
遠くから見るとき、山越しに見るとき、笠を被っているとき。意味は同じ。 - 暗がり美人(くらがりびじん):
暗い場所で見ると、実際よりも美人に見えること。 - 馬子にも衣装(まごにもいしょう):
誰でも外見を整えれば立派に見えること。こちらは隠すのではなく「装う」ことによる効果。
英語表現
「夜目遠目笠の内」を英語で表現する場合、西洋の古い教訓が非常に近いニュアンスを持っています。
Never choose your women or your linen by candlelight
直訳は「女性と布地は、ろうそくの明かりで選ぶな」です。
「明るい場所で慎重に選ぶべきだ」という教訓。
薄暗い場所では布の汚れも人の肌の衰えも見えにくく、実際より良く見えてしまうことを警告しています。
Always check the quality in daylight; never choose your women or your linen by candlelight.
(必ず日の光の下で質を確かめなさい。女性と布地は、ろうそくの明かりで選んではいけない。)
「夜目遠目笠の内」の「かさ」は笠か傘か
表記は、頭にかぶる「笠」が一般的です。
「笠の内」は、笠に隠れた顔の一部をのぞいて見る場合を指します。
ただし、この「かさ」は、かぶる笠に限らず、雨傘や日傘と解されることもあります。










コメント