意味
「足を洗う(あしをあらう)」とは、よくない仕事や暮らしからすっぱりと手を引き、まっとうな生き方に戻ることという意味です。
単なる仕事の引退ではなく、これまでの生き方を悔い改める決意を含んだ言葉です。
後ろ暗い世界からの決別という、前向きな覚悟のニュアンスを持ちます。
語源・由来
「足を洗う」は、インドの仏教僧の修行の作法に由来すると言われています。
古代インドの僧は裸足のまま各地を歩いて托鉢を行い、寺に戻るとまず汚れた足を洗い清めてから、説法などの務めに入っていました。
俗世を歩いてきた足の汚れを洗い落とすこの行為が、迷いや汚れの多い暮らしから離れて清らかな道へ入ることの象徴となり、「足を洗う」という言葉が生まれたとされています。
使い方・例文
「足を洗う」は、好ましくない仕事や生活からきっぱり離れる場面で使われます。
- 彼はギャンブルから足を洗い、まじめに働き始めた。
- 危険な稼業から足を洗う決心をした。
- 夜の仕事から足を洗って、昼間の職に就いた。
使うときの注意点
「足を洗う」は本来、好ましくない仕事や悪い生活習慣からの決別を表す言葉です。
単に一般的な仕事を退職する意味で使うと大げさな印象を与えるため、離れる対象がどのようなものかを踏まえて使う必要があります。
類義語・関連語
「足を洗う」と同じように、悪い生き方や習慣から離れる場面で使われる言葉には、以下のようなものがあります。
- 心を入れ替える(こころをいれかえる):
これまでの考えや態度を反省し、新たな気持ちで生き直すこと。 - 堅気になる(かたぎになる):
好ましくない稼業をやめて、まっとうな職業に就くこと。
「足を洗う」と「心を入れ替える」の違い
どちらも過去との決別を表しますが、視点が異なります。
「足を洗う」は具体的な仕事や環境から離れる行動を、「心を入れ替える」は内面の意識の変化そのものを指します。
| 語句 | 焦点 |
|---|---|
| 足を洗う | 具体的な仕事・環境からの離脱 |
| 心を入れ替える | 内面の意識の変化 |
英語表現
turn over a new leaf
「新しいページをめくる」という意味で、これまでの生き方を改め、新たに出直すことを表す表現。
He decided to turn over a new leaf after leaving his old job.
(昔の仕事から足を洗い、新たな道を歩み始めた。)
裸足で歩いた行脚僧が、寺に入る前にしたこと
「足を洗う」の由来となったのは、仏教の修行僧の習慣です。
かつての僧は裸足で各地を歩いて修行する「行脚」を行っており、一日の修行を終えて寺に戻るころには足が泥だらけになっていました。
寺の中は迷いから救われた世界、寺の外は煩悩に満ちた俗世という考え方が仏教にはあり、僧は寺に入る前に足を洗うことで、単に汚れを落とすだけでなく、俗世で触れた煩悩を洗い清める意味も込めていたとされています。
この、俗世との区切りをつけて清浄な場所へ入るという行為が、後に「好ましくない仕事や生活から抜け出す」という意味に転じ、「足を洗う」という言葉として定着しました。













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