心配事や悲しみで、額に深い皺が刻まれるほどぎゅっと眉間を寄せる。
そうした沈んだ面持ちを表すのが、「愁眉をひそめる」(しゅうびをひそめる)です。
意味
「愁眉をひそめる」とは、心配事や悲しみで眉を寄せ、暗い表情をすることという意味です。
言葉に出さずとも、表情だけで深い心配や悲しみが伝わってしまう様子を表し、当人の心の重さを外から見た描写として使われます。
- 愁眉(しゅうび):憂いを帯びた眉。心配そうな表情。
- ひそめる:眉を寄せて、しかめること。
語源・由来
「愁眉をひそめる」は、「愁眉」という言葉が本来持つ表情の描写に由来する表現です。
対になる言葉に「愁眉を開く」があり、これは中国・唐から五代十国時代にかけての詩人、劉兼の詩「春遊」に由来するとされます。
心配事があると眉間に皺が寄って眉と眉の間が狭く見え、逆に悩みが解決すると、そのしわが消えて眉が開いたように見えることから、安心した様子を「愁眉を開く」と表すようになりました。
「愁眉をひそめる」は、この「愁眉を開く」とは逆に、心配事によって眉間に皺が寄る様子をそのまま表した言い回しです。
使い方・例文
「愁眉をひそめる」は、心配事や悩みごとを抱えて、暗い表情をしている場面で使われます。
- 息子の成績表を見て、母親は愁眉をひそめた。
- 会議室に集まった役員たちは、皆愁眉をひそめていた。
- 突然の悪い知らせに、彼女は愁眉をひそめたまま黙り込んだ。
類義語・関連語
「愁眉をひそめる」と同じく、心配そうな表情を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 眉をひそめる(まゆをひそめる):
心配や不快感で、眉間に皺を寄せること。 - 顔を曇らせる(かおをくもらせる):
心配や不安で、表情が暗くなること。
「愁眉をひそめる」と「眉をひそめる」の違い
両者とも眉を寄せる仕草を表しますが、含む感情の幅に違いがあります。
「愁眉をひそめる」は主に心配や悲しみに限定して使われるのに対し、「眉をひそめる」は不快感や嫌悪感を示す場面でも幅広く使われます。
| 語句 | 表す感情の幅 |
|---|---|
| 愁眉をひそめる (しゅうびをひそめる) | 心配・悲しみに限定 |
| 眉をひそめる (まゆをひそめる) | 心配・不快感・嫌悪感など幅広い |
英語表現
knit one’s brow
「眉を編む」という直訳の通り、心配事で眉間に皺を寄せる様子を表す定番の表現。
She knitted her brow as she read the letter.
(彼女は手紙を読みながら愁眉をひそめた。)
対になる「開く」と「ひそめる」
「愁眉をひそめる」とその対になる「愁眉を開く」は、どちらも同じ「愁眉」という言葉を土台にしながら、心配の始まりと終わりという正反対の場面を切り取る、対の表現として機能しています。
このように、一つの表情を軸にして対になる動詞を組み合わせ、正反対の心情を表す言い回しは、日本語に限らず漢語表現にも広く見られる型です。
「愁眉」という一つの言葉が、「ひそめる」と「開く」という異なる動詞と結びつくことで、心配の始まりから解消までの心の動きを一続きの物語として描けるようになっている点は、この表現の構造上の特徴といえます。









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