意味
「人生意気に感ず」とは、人は金銭や名誉のためではなく、相手の心意気に感動して行動するものだという意味です。
損得を超えた、人の心を動かす力への信頼が込められた言葉です。
- 意気(いき):物事をやり遂げようとする積極的な気持ち。
- 感ず(かんず):心を動かされること。
語源・由来
「人生意気に感ず」は、唐代初期の政治家・魏徴が詠んだ漢詩『述懐(じゅっかい)』の一節に由来します。
魏徴はもともと反乱勢力の側近でしたが、後に敵対していた唐の太宗に仕えることになり、その心境を『述懐』という詩に託しました。
詩の中で魏徴は「人生意気に感ず、功名誰か復(ま)た論ぜん(人は心意気に感じて動くもので、功名などは誰も問題にしない)」と詠み、太宗の人柄に心を動かされて仕える決意をしたことを表しました。
この一節が、人の行動の本質を突いた言葉として、後世に広く伝わりました。
使い方・例文
「人生意気に感ず」は、損得を超えて人の心意気に動かされる場面で使われます。
- 彼が力を貸したのは、社長の心意気に触れ、人生意気に感ずという思いからだった。
- 報酬より、人生意気に感ずの一言で仕事を引き受けた。
- あの人はまさに人生意気に感ずを体現するような生き方をしている。
類義語・関連語
「人生意気に感ず」と同様に、損得を超えた信頼への報い方を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 士は己を知る者の為に死す(しはおのれをしるもののためにしす):
自分を認めてくれた人のために力を尽くすこと。
「人生意気に感ず」と「士は己を知る者の為に死す」の違い
どちらも、人の心を動かすものは損得ではなく信頼や心意気であるという点で共通しますが、力点が異なります。「人生意気に感ず」は行動する側の心情そのものに焦点を当てるのに対し、「士は己を知る者の為に死す」は自分を認めてくれた相手への報恩に重きを置きます。
| 語句 | 焦点 | 由来 |
|---|---|---|
| 人生意気に感ず (じんせいいきにかんず) | 心意気に動かされる心情 | 魏徴の漢詩『述懐』 |
| 士は己を知る者の為に死す (しはおのれをしるもののためにしす) | 認めてくれた相手への報恩 | 中国の故事 |
太宗に仕える前、高祖の命で旧友を説得した経験
魏徴はもともと反乱勢力の瓦崗軍に身を寄せ、のちに竇建徳の捕虜となるなど、各地の勢力を転々とした人物です。
武徳4年(621年)に唐の高祖(李淵)のもとへ帰順すると、かつての同志であった徐世勣(後の李勣)を説得するため山東へ派遣され、これを唐への帰順に導いています。
「人生意気に感ず」という一節を含む『述懐』は、この時期に詠まれたとされる五言古詩です。
南朝梁の詩人・荀済の「人生意気に感じ、相知るに富貴無し」という句を踏まえたもので、栄達や利害損得ではなく、人としての意気に感応して行動する生き方をうたっています。
その後、魏徴は皇太子・李建成の側近となるが、626年の玄武門の変で李建成が討たれ、勝者の李世民(後の太宗)に事情を問われます。
率直に答えたことで罪を赦され、以後は太宗に直言を重ねる重臣として知られるようになりました。
ただし「人生意気に感ず」の一節自体は、太宗に仕えるより前、高祖のもとで働いていた時期の作です。










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