【特集】「生(生命)」にまつわる ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語(生きること・生命)

「生」にまつわる ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語(生きること・生命) 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語
スポンサーリンク

生まれてから死ぬまでの間、すなわち「生」。
それは喜びや悲しみ、出会いや別れに彩られた、かけがえのない時間です。
古くから伝わる言葉には、この「生」の尊さ、儚さ、そして生きる上での知恵や覚悟が凝縮されています。

  • 生ある者は死あり(せいあるものはしあり):
    この世に生を受けたものは、必ず死ぬ運命にあるということ。生命の儚さを示す仏教語。仏教葬儀の法話でもよく引用される。
    生者必滅」とも言う。
  • 命あっての物種(いのちあってのものだね):
    何事も命があってこそできるのであり、生きていることが最も大切であるということ。
  • 死ねば死に損、生くれば生き得(しねばしにぞん いくればいきどく):
    死んでしまっては損をするばかりだが、生きているからこそ得られるものがあるということ。
  • 死んで花実が咲くものか(しんではなみがさくものか):
    死んでしまっては何もならず、生きているからこそ良い結果も生まれるのだということ。
  • 人生意気に感ず(じんせいいきにかんず):
    人は利害や打算だけではなく、相手の心意気や情熱に感動して行動するものだということ。
    韓信(かんしん)の言葉で、「利害よりも義を重んじる人情」を意味する。
  • 人生七十古来稀なり(じんせいしちじゅうこらいまれなり):
    七十歳まで生きる人は昔から稀であるということ。杜甫の詩の一節から。長寿を祝う言葉としても使われる。
    古来中国では平均寿命が短く、七十は長寿の象徴だった。日本の「古希」の由来にもなっている。
  • 人生朝露の如し(じんせいちょうろのごとし):
    人の一生は、朝の露が日が昇ると消えてしまうように、非常にはかなく短いものであるというたとえ。
  • 長生きは万徳の基(ながいきはまんとくのもとい):
    長生きすること自体が、多くの徳を備えている証拠であり、尊いことであるということ。
  • 生は難く死は易し(せいはかたくしはやすし):
    様々な困難や苦労を伴うこの世で生き続けることは難しく、死ぬことはそれに比べれば容易であるということ。
  • 生は寄なり死は帰なり(せいはきなりしはきなり):
    この世に生きているのは仮の宿りに身を寄せているようなもので、死ぬことは本来いるべき場所へ帰ることであるという、荘子などの思想に基づく人生観。
  • 生を重んずれば則ち利を軽んず(せいをおもんずればすなわちりをかろんず):
    生命や生きることを本当に大切にする人は、目先の利益や物質的な豊かさを軽視するものであるということ。
  • 生を視ること死の如し(せいをみることしのごとし):
    生きることに執着せず、死を恐れることもない、超然とした心境のたとえ。
  • 美女は生を断つ斧(びじょはせいをたつおの):
    美女の色香に迷い溺れることは、自らの命を縮め、身を滅ぼす原因になるという戒め。
  • 生木を裂く(なまきをさく):
    無理に仲の良い関係を引き裂くことのたとえ。非情でむごい仕打ちをすること。

慣用句

  • 生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく):
    生きている馬の目ですら抜き取ってしまうほど、素早くずる賢いことのたとえ。油断も隙もない様子。
  • 生き字引(いきじびき):
    まるで生きている辞書のように、非常に物知りで、何を聞いても答えてくれる人のこと。
  • 生き恥をさらす(いきはじをさらす):
    死ぬべき時に死なず、または名誉を失っても生きながらえて、恥ずかしい思いをすること。
  • 生かすも殺すも(いかすもころすも):
    相手の処遇を、自分の思い通りにできること。絶対的な権力や支配力を持っている状態。「生殺与奪」と同義。
  • 生みの親(うみのおや):
    自分を産んでくれた実の親のこと。
  • 生みの苦しみ(うみのくるしみ):
    子供を産むときの肉体的な苦痛。転じて、新しいものを創り出す際の、精神的・肉体的な苦労や困難のこと。
  • 生きた心地がしない(いきたここちがしない):
    非常に強い恐怖や不安、心配などで、生きている感じがしないほど追い詰められた心境のこと。
  • 生の証(あかし):
    自分が生きていることの証拠、生きている実感や価値。
  • 生一本(きいっぽん):
    混じりけがなく純粋であること。特に、性格が純粋でまっすぐ、一途であるさま。
  • 生計を立てる(せいけいをたてる):
    暮らしを立てていくための方法や手段を講じること。生活費を稼ぐこと。

故事成語

  • 死せる孔明生ける仲達を走らす(しせるこうめいいけるちゅうたつをはしらす):
    死んだ後も、その威光が生きていた時と同じように力を持ち続けることのたとえ。生きている者の力を示す。
  • 人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま):
    人生における幸運や不運は予測できず、変わりやすいものであるというたとえ。「塞翁が馬」と同じ。

四字熟語

  • 一生懸命(いっしょうけんめい):
    命がけで物事に取り組むさま。全力を尽くすさま。「一所懸命」とも書く。
  • 一生一代(いっしょういちだい):
    生まれてから死ぬまでの間。その人にとっての生涯でただ一度きりのこと。
  • 起死回生(きしかいせい):
    死にかかった状態から生き返ること。絶望的な状況から一気に勢いを盛り返すこと。
  • 九死一生(きゅうしいっしょう):
    ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて命が助かること。「万死一生」もほぼ同義。
  • 酔生夢死(すいせいむし):
    何も価値あることをせず、ただぼんやりと一生を終えること。生きている意味を見いだせないような空虚な生き方。
  • 生死流転(しょうじるてん):
    生きることと死ぬことを繰り返し、迷いの世界をさまよい続けること。仏教語。
  • 生死存亡(せいしそんぼう):
    生きるか死ぬか、存続するか滅亡するかの重大な瀬戸際。
  • 生殺与奪(せいさつよだつ):
    生かすも殺すも、与えるも奪うも思いのままにできること。絶対的な権力を持つことのたとえ。
  • 七生報国(しちしょうほうこく):
    七度生まれ変わっても、国のために尽くすこと。国への強い忠誠心を示す言葉。楠木正成の言葉とされる。
  • 有為転変(ういてんぺん):
    この世のすべてのものは常に変化し、移り変わっていくものであるということ。人生の移ろいやすさを示す仏教語。『涅槃経』の「諸行無常 有為転変」から。
  • 輪廻転生(りんねてんしょう):
    命あるものが死後、別のものに生まれ変わり、生と死を無限に繰り返すという考え方。仏教などの思想。
  • 生者必滅(しょうじゃひつめつ):
    この世に生を受けたものは、必ず死ぬ運命にあるということ。生命の儚さを示す仏教語。「生ある者は必ず死す」とも言う。

まとめ – 限りある「生」とどう向き合うか

「生」にまつわる言葉は、命の重みと儚さ、そのどちらも静かに語りかけてきます。
「命あっての物種」「人生朝露の如し」──そうした言葉から見えてくるのは、人生の不確かさと、かけがえのなさです。

だからこそ、今この瞬間をどう生きるかが問われます。
情熱に動かされ、何かのために力を尽くすこと。
苦しみの中から何かを生み出し、自分なりの「意味」を刻むこと。

ただ時間をやり過ごすのではなく、自らの「生」を意志で照らすように。
古くからの言葉たちは、そんな生き方こそが人の本当の強さであり、美しさであると、そっと教えてくれているのかもしれません。

スポンサーリンク

コメント