意味
「襟を正す(えりをただす)」とは、ゆるんでいた心を引き締め直し、あらためて真剣な態度で物事に向き合うという意味です。
衣服の乱れを直す動作にとどまらず、心構えを改めるという比喩的な意味で使われます。
- 襟(えり):衣服の首まわりの部分。
- 正す(ただす):乱れたものを整えること。
語源・由来
中国・北宋の詩人蘇軾が記した『前赤壁賦』には、「正襟危坐(襟を正し、姿勢を正して座る)」という表現が登場します。
客の吹く洞簫の悲しげな音色に心を動かされた蘇軾が、居住まいを正して座り直し、そのわけを尋ねる場面で使われた言葉です。
この中国古典に見られる「正襟」という語法が日本語に取り入れられ、「襟を正す」という言い回しとして定着していったという説があります。
使い方・例文
「襟を正す」は、気持ちを引き締めて真剣に物事に取り組む場面で使われます。
- 大きな失敗を機に、襟を正して業務に取り組んだ。
- 上司の言葉に、社員一同襟を正す思いだった。
- 新年を迎え、襟を正して目標を立て直す。
類義語・関連語
襟を正すと同様に、態度や姿勢を改める様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
「正襟危坐」は前漢の『史記』にすでに
「正襟危坐」は、北宋の蘇軾が『前赤壁賦』に書くより千年以上前、前漢の『史記』日者列伝に出てきます。
役人の宋忠と賈誼は、長安の東の市で占いをしていた司馬季主を訪ねました。
そこで二人は、天地の道理や日月の運行、吉凶のもとを説く話を聞かされます。
二人ははっと悟り、冠のひもを整え、襟を正して座り直したと書かれています。
原文は「獵纓正襟危坐」で、相手への敬意を表す改まった身のこなしです。
日本語の「襟を正す」が表す、気持ちを引き締めて相手や物事に向き合う態度は、二千年以上前の中国ですでにこの動作で示されていたことになります。












コメント