大きな失敗や裏切りをしてしまい、相手の視線をまともに受け止められない。
そんな引け目を「顔」という言葉で表すのが、「合わせる顔がない」(あわせるかおがない)です。
意味
「合わせる顔がない」とは、重大な失敗や裏切りによって面目を失い、恥ずかしくて相手に顔を向けられないことという意味です。
単なる気まずさより重く、申し訳なさや罪悪感を強く伴う場面で使われる言葉です。
- 合わせる:向き合う、対面すること。
- 顔(かお):相手と向き合う際の面目。
語源・由来
「合わせる顔がない」は、「顔を合わせる」という日常の動作を土台にした言葉です。
日本語では「顔」を面目や体面の象徴として使う言い回しが数多くあり、「顔をつぶす」「顔が立つ」なども同じ発想から生まれています。
大きな失敗をした後は相手と正面から向き合うこと自体がつらく感じられるため、その気持ちを「顔を合わせられない」という形で表すようになったと考えられます。
使い方・例文
「合わせる顔がない」は、自分の非を強く自覚し、相手と対面しづらい気持ちを表す場面で使われます。
- 大事な資料を紛失し、上司に合わせる顔がない。
- 約束を破ってしまい、彼女に合わせる顔がない。
- 借金を重ねてしまい、実家の両親に合わせる顔がない。
類義語・関連語
「合わせる顔がない」と同じように、面目を失った気まずさを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 顔向けできない(かおむけできない):
恥ずかしくて相手の前に出られないこと。 - 肩身が狭い(かたみがせまい):
周囲に対して引け目を感じ、堂々と振る舞えないこと。
対義語
「合わせる顔がない」とは反対に、堂々と振る舞える様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 大手を振る(おおでをふる):
世間に対して堂々と振る舞うこと。
英語表現
can’t face someone
直訳が示すとおり、恥ずかしさや申し訳なさで相手と対面できない気持ちを表す表現。
I can’t face my parents after failing the exam again.
(試験にまた落ち、両親に合わせる顔がない。)
「顔」が体面の代名詞になった理由
日本語には、「顔」を使って対人関係の面目を表す言い回しが数多くあります。
「顔が広い」は交友関係の豊かさを、「顔をつぶす」は他者の面目を傷つけることを、「顔から火が出る」は強い恥ずかしさを表すように、顔という体の一部が「社会的な自分」の象徴として使われています。
「合わせる顔がない」もこの系譜に連なる表現で、顔を合わせるという物理的な動作が、そのまま相手と対等に向き合える立場かどうかを示す指標になっています。









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