周りの目が気になって、つい体を縮めたくなる瞬間がある。
そんな居心地の悪さを表すのが、「肩身が狭い」(かたみがせまい)です。
意味
「肩身が狭い」とは、世間や周囲に対して面目が立たず、引け目を感じて肩身が縮こまるように感じるという意味です。
周りからどう見られているかを気にして、堂々と振る舞えない心細さを表します。
本人に非がある場合だけでなく、立場上やむを得ず感じる引け目にも使われる言葉です。
- 肩身(かたみ):世間に対する面目や体面
語源・由来
「肩身が狭い」は、平安時代の文献にすでに見られる古い言葉です。
「肩身」はもともと肩とからだ全体を指す言葉で、そこから転じて世間に対する体面や面目を表すようになりました。
体を縮めて小さくなる姿と、世間に対して肩身の置き場がなく感じる心細さが重なり、この言葉が生まれたと考えられていますが、単一の出来事に由来するものではありません。
使い方・例文
「肩身が狭い」は、周囲の目を気にして引け目を感じている場面で使われます。
- 子どもの不始末で、近所への肩身が狭い思いをした。
- 成績が振るわず、同期の前で肩身が狭い。
- 親戚一同の中で独身の自分だけが肩身が狭い。
類義語・関連語
「肩身が狭い」と同じように、世間に対して引け目や恥ずかしさを感じる場面で使われる言葉には、以下のようなものがあります。
- 居たたまれない(いたたまれない):
その場に恥ずかしさや気まずさを感じて、じっとしていられないこと。 - 面目ない(めんぼくない):
世間に対して恥ずかしく、合わせる顔がないこと。
「肩身が狭い」と「面目ない」の違い
どちらも世間に対する引け目を表しますが、原因の所在が異なります。「肩身が狭い」は自分に非がなくても感じる立場上の心細さを含むのに対し、「面目ない」は主に自分の落ち度による恥ずかしさを表します。
| 語句 | 原因 |
|---|---|
| 肩身が狭い | 立場上の心細さ(非がなくても感じうる) |
| 面目ない | 自分の落ち度への恥ずかしさ |
対義語
「肩身が狭い」とは反対に、世間に対して誇らしく振る舞える様子を表す言葉があります。
- 肩身が広い(かたみがひろい):
世間に対して面目が立ち、誇らしく感じること。
英語表現
feel small
「自分が小さく感じる」という直訳のとおり、引け目や恥ずかしさで肩身の狭さを感じる状態を表す表現。
Surrounded by successful classmates, I felt small.
(成功した同級生たちに囲まれ、肩身の狭い思いをした。)
「世間」という監視者
「肩身が狭い」という言葉には、常に「世間」という他者の視線が前提として存在します。
個人が具体的な誰かに責められているわけではないのに、漠然とした周囲の評価を意識して自分を縮めてしまう感覚です。
社会学ではこうした、実在する特定の他者ではなく、内面化された不特定多数のまなざしを気にする心のはたらきが古くから研究の対象とされてきました。
「肩身が狭い」は、そうした人間関係の中で生きる私たちの感覚を、体の縮こまりというかたちで的確に切り取った言葉だといえます。









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