意味
「棘がある(とげがある)」とは、何気ない言葉や態度のはしばしに、相手をちくりと刺すような意地の悪さや皮肉がにじんでいるという意味です。
本人に悪意があるかどうかにかかわらず、聞き手が不快感やチクリとした痛みを覚える場面で使われる言葉です。
- 棘(とげ):植物の茎などにある鋭く尖った突起。
- ある:そこに存在している状態。
語源・由来
「棘がある」は、バラなどの美しい植物の茎に鋭い棘が隠れている性質を、人の言葉や態度になぞらえた表現です。
見た目や表面上は穏やかでも、触れた瞬間に痛みを感じる棘のように、柔らかい口調の裏に相手を刺すような鋭さが潜んでいる様子を表しています。
使い方・例文
「棘がある」は、言葉や態度に相手を刺すような鋭さが感じられる場面で使われます。
- 彼女の言い方には、いつもどこか棘がある。
- 褒め言葉のはずなのに、棘のある言い回しに聞こえた。
- 疲れているせいか、今日は返事に棘がある。
類義語・関連語
「棘がある」と同様に、言葉のきつさを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 辛辣(しんらつ):
言葉や批評が非常に厳しく手厳しい様子。 - 当てこすり(あてこすり):
遠回しに相手の欠点を非難する言い方。
芥川龍之介は丁寧なひと言を「棘のある言葉」と書いた
芥川龍之介の小説『玄鶴山房』(1927年)に、「棘のある言葉」が出てきます。
お芳は、この家の主人がかつて囲っていた女中上がりの女性で、子どもを連れて家に泊まり込んでいました。
主人の孫の武夫が自分の子をいじめたとき、お芳は「坊ちゃん、弱いものいじめをなすってはいけません。」とたしなめます。
芥川はこのせりふを「内気な彼女には珍らしい棘のある言葉だった」と書いています。
言葉づかいは丁寧で、悪口は一つも入っていませんが、武夫はお芳の剣幕に驚いて泣き出しました。
このように、言葉づかいが丁寧でも、言い方や場面しだいで「棘がある」と言われます。










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