意味
「御神酒上がらぬ神はない」とは、神様でさえお酒を召し上がるのだから、人間が酒を飲むのも当然であるという意味です。
本来はへ理屈に近い言い回しで、酒好きが自らの飲酒を正当化するために、冗談交じりに使う茶目っ気のある言葉です。
- 御神酒(おみき):神前に供える酒。
- 上がらぬ(あがらぬ):召し上がらない。
- 神はない(かみはない):そのような神は存在しない。
語源・由来
「御神酒上がらぬ神はない」は、神社の祭壇には必ずといってよいほど酒が供えられ、それを神様が受け取るとされてきた日本の信仰習慣から生まれた言い回しです。
神前に酒を供える「御神酒」の風習をそのまま人間の飲酒に置き換え、神様も酒を飲むのだから人間が飲んで悪いはずがない、という強引な三段論法に仕立てたところにこの言葉のおかしみがあります。
記録に残る初出の例としては、明治24年(1891年)に三代目三遊亭円遊が演じた落語「神仏混淆」の中でこの言い回しが使われたことが知られており、酒席の座興として庶民の間に広まっていったと考えられます。
使い方・例文
「御神酒上がらぬ神はない」は、酒を飲む言い訳を冗談めかして述べる場面で使われます。
- まあまあ、御神酒上がらぬ神はないと言うでしょう。
- 父は御神酒上がらぬ神はないを口癖にして晩酌を続けた。
- 御神酒上がらぬ神はない、今夜くらいはいいだろう。
類義語・関連語
「御神酒上がらぬ神はない」と同様に、酒を飲む理由づけとして使われる言葉には以下のようなものがあります。
- 百薬の長(ひゃくやくのちょう):酒はあらゆる薬にまさる効能を持つという言葉。
- 酒は憂いの玉箒(さけはうれいのたまははき):酒は心の憂さを払いのけてくれるという言葉。
神への供え物が、そのまま人の口に入る「直会」という風習
神社の祭事では、神前に供えた御神酒や食べ物を、儀式の後で参列者が分け合っていただく「直会(なおらい)」という風習が古くから行われてきました。
これは神が召し上がったとされる供物を人がともにいただくことで、神の力を分けてもらうという意味合いを持つ神事の一部です。
「御神酒上がらぬ神はない」という軽口も、実際に酒が神から人へと渡っていくこの直会の構造があってこそ、単なる言葉遊び以上のもっともらしさを帯びていると考えられます。










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