荷を引く馬が、道端に生えた草に気を取られて足を止め、目的地へなかなかたどり着かない。
そんな、寄り道をして時間を費やしてしまう様子を表すのが、「道草を食う」(みちくさをくう)です。
意味
「道草を食う」とは、目的地へ行く途中で、他のことに関わって時間を浪費することという意味です。
学校や仕事の帰りに寄り道をする場合など、日常的な場面で広く使われます。
本来の目的から外れてしまう点をやや戒める響きを持ちますが、深刻な失敗ではなく、ちょっとした寄り道を指す軽いニュアンスの言葉です。
- 道草(みちくさ):道端に生えている草
- 食う(くう):口にして食べること
語源・由来
「道草を食う」は、荷物を運ぶ馬の実際の行動に由来する言葉です。
かつて馬は、荷物の運搬や人の移動に欠かせない存在でした。しかし道中、道端に生えている草に気を引かれると、馬は歩みを止めてその草を食べ始めてしまいます。
手綱を引く人にとっては目的地へ急ぎたいところですが、馬は一向に気にせず草を食み続け、結果として移動に余計な時間がかかってしまいます。この、本来の目的から外れて足止めを食う様子が、人が寄り道をして時間を費やす様子にたとえられ、「道草を食う」という言い回しとして定着しました。
使い方・例文
「道草を食う」は、目的地へ向かう途中で寄り道をする場面で使われます。
- 学校帰りに公園で道草を食って、遅くなった。
- 資料探しのつもりが、つい道草を食って別の本に読みふけった。
- 買い物のついでに書店で道草を食うのが楽しみだ。
類義語・関連語
「道草を食う」と同じように、目的から外れて時間を費やすことを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 寄り道(よりみち):
目的地へ向かう途中、他の場所へ立ち寄ること。 - 油を売る(あぶらをうる):
仕事の途中で、無駄話などをして時間を費やすこと。
「道草を食う」と「油を売る」の違い
どちらも本来の目的から外れて時間を費やす様子を表しますが、寄り道をする対象に違いがあります。
| 語句 | 時間を費やす対象 |
|---|---|
| 道草を食う (みちくさをくう) | 移動の途中での寄り道 |
| 油を売る (あぶらをうる) | 仕事や作業の合間のおしゃべり |
英語表現
dawdle on the way
目的地へ向かう途中で、のんびりと時間をかけてしまうことを表す表現。
The kids always dawdle on the way home from school.
(子どもたちは学校帰りにいつも道草を食う。)
馬という乗り物が去った後も残った言葉
「道草を食う」は、馬が主要な移動手段だった時代の実体験から生まれた言葉であるが、自動車や鉄道が移動の主役となった現代でも変わらず使われ続けている。
これは、寄り道という行為そのものが、移動手段が何であれ人間の生活に普遍的に存在し続けているためだと考えられる。目的地に一直線に向かうことよりも、道すがらの気になるものへ立ち寄ってしまう心理は、馬に手綱を引かれていた時代も、スマートフォンを片手に歩く現代も、大きくは変わっていない。
交通手段が移り変わっても、寄り道をたとえる言葉としての「道草を食う」の役割は、そのまま引き継がれている。









コメント