意味
「無い物ねだり」とは、自分では持ち合わせていないものを、あれこれ欲しがってせがんでしまうことを意味します。
現実には手に入らないと分かっていながら求め続ける、少し困った振る舞いを指す言葉で、呆れや諦めの気持ちを込めて使われることが多くあります。
- 無い物(ないもの):手元に存在しないもの。
- ねだり:欲しいと駄々をこねること。
語源・由来
「無い物ねだり」は、日々の暮らしの中で自然に生まれた言い回しと考えられています。
家にないおもちゃやお菓子を親にせがむ子供の姿は、昔からどこの家庭でも見られる、ごくありふれた光景でした。
こうした「持っていないものを欲しがる」という身近な行動が、そのまま言葉として定着したとされています。
現代では子供に限らず、大人が身の丈に合わない望みを口にする場面でも広く使われるようになりました。
使い方・例文
「無い物ねだり」は、実現が難しい望みを口にする相手をたしなめたり、自分の願いを自嘲したりする場面で使われます。
- 田舎暮らしに都会の便利さを求めるのは無い物ねだりというものだ。
- 過去に戻りたいなんて、しょせん無い物ねだりだと分かっている。
- そんな夢のような給料を望むのは無い物ねだりだよ。
類義語・関連語
「無い物ねだり」と同様に、身の丈に合わない望みを抱く様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 高望み(たかのぞみ):
自分の身分や実力以上のものを望むこと。 - 隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい):
他人の持つものが自分のものより優れて見えること。
対義語
「無い物ねだり」とは反対に、今あるもので満足する姿勢を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 足るを知る(たるをしる):
今あるもので満足し、それ以上を望まないこと。
英語表現
cry for the moon
自分の手が届かない、非現実的なものを欲しがる様子を表す表現。
Wanting a mansion on this salary is like crying for the moon.
(この給料で豪邸を望むのは、無い物ねだりのようなものだ。)
「持っていないもの」ほど魅力的に見える心理
心理学の実験では、目の前にある選択肢よりも、手に入らない選択肢のほうが価値が高く感じられる現象が繰り返し確認されています。
これは「心理的リアクタンス」と呼ばれる心の働きの一種で、選べる自由が制限されるほど、その対象への欲求がかえって強まる傾向を指します。
禁止されたお菓子ほど子供が欲しがるのも、この心の動きの表れとされています。
「無い物ねだり」という言葉は、こうした心の働きを、暮らしの実感から言い表したものです。










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