まだ実る前の青々とした稲田を見て、収穫量を見込んで先に買い取ってしまう。
そんな、将来性を見越して早々に対象を確保する行為を指す言葉が、「青田買い」(あおたがい)です。
意味
「青田買い」とは、まだ実っていない段階で、将来性を見込んで早めに確保することという意味です。
主に企業が卒業前の学生を早期に採用内定する慣習を指して使われますが、不動産や人材の分野でも同様の意味で用いられます。
- 青田(あおた):稲が青々と茂り、まだ実っていない田んぼ
- 買い(がい):買い取ること
語源・由来
「青田買い」は、もともと収穫前の稲田を、実際に取れる米の量を見越して先に買い取っていた農業取引に由来する言葉です。
稲が実る前の田を「青田」と呼び、収穫を待たずに収穫量を見積もって取引することを「青田買い」と称しました。
この慣行が転じて、高度経済成長期に企業が卒業前の学生へ早期に内定を出す動きを指すようになり、1953年には大学・企業・関係官庁でつくる就職問題懇談会が、採用選考の解禁日を定める「就職協定」を結ぶまでの社会問題に発展しました。
使い方・例文
「青田買い」は、将来性のある人材や対象を早い段階で確保する場面で使われます。
- 有名企業による青田買いが、年々早まっている。
- スカウトが有望選手を青田買いしようと動いた。
- 新築マンションの青田買いは、価格が抑えられる利点がある。
類義語・関連語
「青田買い」と同じように、将来性を見込んで早めに動くことを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 先物買い(さきものがい):
将来値上がりしそうなものを見込んで先に買うこと。
「青田買い」と「先物買い」の違い
どちらも将来性を見込んだ行動ですが、対象と焦点に違いがあります。
| 語句 | 対象・焦点 |
|---|---|
| 青田買い (あおたがい) | 人材や不動産など、成熟前の対象を早期に確保する行為 |
| 先物買い (さきものがい) | 相場や価値の上昇を見込んだ、金融・商品取引の考え方 |
英語表現
poach talent
他社に先駆けて、有望な人材を早期に確保することを表す表現。
The company tried to poach talented students before graduation.
(その企業は卒業前の優秀な学生を青田買いしようとした。)
半世紀以上残る、就職協定の名残
1953年に結ばれた最初の就職協定も、高度経済成長期の採用競争の前ではたびたび破られ、1962年には日経連が採用選考の時期を定めない「採用野放し」を宣言する事態にまで至った。
その後1972年に協定は一度復活したものの、1997年には日経連と大学側が正式に廃止に合意し、現在は政府や経済団体が「採用選考に関する指針」として、大学3年生の3月に広報解禁、4年生の6月に選考開始という目安を示すにとどまっている。
稲作の取引用語だった「青田買い」が、半世紀以上にわたって就職活動の早期化を語る言葉として使われ続けているのは、収穫前に対象を囲い込むという構図が、人材獲得競争の実態と重なり続けているためである。









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